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〈國學院大學〉「プレッシャーより、ワクワクしている」三冠王手の優勝候補筆頭校のエース・平林清澄(4年)の集大成への決意 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byYuki Suenaga

posted2024/12/24 10:01

〈國學院大學〉「プレッシャーより、ワクワクしている」三冠王手の優勝候補筆頭校のエース・平林清澄(4年)の集大成への決意<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

全日本大学駅伝での平林は7区を区間2位で走り、今季二冠目獲得に貢献した

「エースとして負けていますから。ふたりの力をしっかり認めた上で、箱根駅伝ではリベンジの気持ちを持って臨みたいです」

 大黒柱の矜持がある。箱根駅伝では2年連続で『花の2区』を任され、エースのあるべき姿を自問自答してきた。区間7位で終えた2大会前の映像は、寮の部屋で何度も見返している。当時、学生トップランナーと言われた駒大の田澤廉(現・トヨタ自動車)、青学大の近藤幸太郎(現・SGホールディングス)、中央大学の吉居大和(現・トヨタ自動車)の3人が先頭争いを繰り広げるなか、後ろを走りながら歴然とした力の差を痛感。遠くて大きな背中からは多くのことを学んだ。

「その選手が走れば、絶対にチームは勝てるという安心感、信頼感を与えられる存在が本当のエースなんだと思います。どんなコンディション、どの区間でも必ず走る(結果を残す)こと。田澤さん、近藤さん、吉居さんの走りからは『何が何でもチームを勝たせる』という強い気持ちを感じました」

優勝候補のエースの心境

 初めて箱根駅伝2区の洗礼を受けてから2年の歳月が流れた。いまや平林は大学生指折りの長距離ランナーとして名を馳せ、優勝候補筆頭に挙げられるチームの絶対的なエースとして君臨。2024年2月の大阪マラソンでは2時間06分18秒で優勝を飾り、日本学生記録と初マラソン最高記録を更新した。距離が伸びれば伸びるほど、強くなるという自負もある。23.1kmの鶴見から戸塚までのコースは完璧に頭に入っており、三度目の正直に意欲を燃やす。

「区間賞を取ることは、チーム目標の達成にもつながります。エース区間を走りたい気持ちはありますが、優勝するための区間配置が大事。どの場所でも走れる準備はしています。エースが負ければチームも負ける。そこは経験を積んで、理解しているところです。仮に2区であればタイムは1時間5分台を視野に入れますが、勝負に徹します」

 最も意識するのは、駒大、青学大のライバルより自らと向き合うことだ。前回は大会前にチーム内でインフルエンザが蔓延し、万全の態勢でスタートラインに立つことができなかった。だからこそ、あえて言う。

「本番で最大限の力を出すために120%の準備をします。たとえ注目されても、されなくても、そこは変わらないところです」

 経験を積んできた4年生のエースらしく、泰然自若で集大成のラストランに臨む。

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