第101回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
〈國學院大學〉「プレッシャーより、ワクワクしている」三冠王手の優勝候補筆頭校のエース・平林清澄(4年)の集大成への決意
posted2024/12/24 10:01
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Yuki Suenaga
出雲駅伝で5年ぶり2度目の戴冠を果たすと、全日本大学駅伝でも勢いそのままに悲願の初制覇。多くのメディアに「三冠王手」の見出しが並び、11月はスポーツ関連媒体にとどまらず、ファッション誌などの取材も殺到したという。多忙を極める國學院大學の主将、平林清澄(4年)は「卒業論文もなかなか終わらなくて」と苦笑しながらもあっけらかんとしている。
「メディア対応も僕の仕事のひとつだと思っています。むしろ、注目されたほうがいいのかなと。スローガンに掲げた『歴史を変える挑戦』をしているので」
箱根駅伝での初優勝こそが、今季当初からのチーム目標。「心の隙をつくらない」と言い続けるキャプテンは目の前に迫るレースに集中し、一戦必勝で臨むことを強調する。
「二冠を達成したから、次は『三冠へ』ではないです。チーム内で『三冠』という言葉は誰も使っていません。プレッシャーを感じるよりも、わくわくしていますね。僕らはまだ箱根駅伝で一度も勝ったことないので、チャレンジャーとして初の総合優勝を狙いに行きます」
学生トップレベルの陣容
チームの仕上がりはすこぶる順調である。駅伝シーズンの幕開けとなった出雲駅伝から主力たちが要所で働いた。4区の野中恒亨(2年)、5区の上原琉翔(3年)、6区の平林がいずれも区間賞を獲得。また、今年の日本学生ハーフマラソン選手権を制した青木瑠郁(3年)は1区で区間3位と奮闘した。続く全日本大学駅伝では5区の野中、6区の山本歩夢(4年)がともに区間1位と好走。さらに区間3位だった出雲駅伝に続いて準エース区間を担った辻原輝(2年)が区間4位にまとめるなど、学生トップレベルで戦える力を証明してみせた。
来るべき最後の大舞台に向けて、懸案事項だった5区も目処が立ったようだ。「山でもタイム差をつけられない人選をしています」と前田康弘監督。「國學院大史上最強」という陣容をそろえ、復路にも自信をのぞかせる。
チームを牽引する平林は、学年に関係なく切磋琢磨してきた仲間たちに信頼を寄せている。
「うちは中間層(中堅戦力)に強みがあります。みんながエース級。出雲駅伝、全日本大学駅伝ともにそれぞれ役割を理解し、攻めの走りをしてくれましたから」
ただ、平林自身の話になると少し歯切れが悪くなる。各大学のエースが集まる全日本大学駅伝の7区で惜しくも区間2位タイ。前を走る青山学院大学の太田蒼生(4年)を捉え切れず、区間タイムでは駒澤大学の篠原倖太朗(4年)に10秒届かなかった。思い返すだけで、悔しさがこみ上げる。