第101回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
〈法政大学〉「まだ限界は感じていない」遂に覚醒した大島史也(3年)が初の箱根駅伝で発揮する逸材の本領
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/12/24 10:00
法政大学への進学が決まった時から未来のエースと目されてきた大島
トラックだけでなくロードでも結果を残してきた。10000mで自己ベストを出した翌週に行われた上尾シティハーフマラソンで1時間03分00秒と、こちらも大幅な自己ベスト更新に成功した。実は大島は1年前も同じスケジュールでレースに臨んでおり、その時は10000mで自己ベストを更新できたものの、ハーフマラソンでは失速。これにより指揮官の信頼を勝ち取れず、箱根駅伝では出走の機会を逃していた。
「1年前はそれだけのスタミナがなかったということでしょう。今季は積み上げてきた練習からして、絶対に崩れないだろうと思って安心して見ていられました」
坪田監督の目には1年前の大島とは別人と映っている。そして大島も「今季は夏から単独走でロードを走る練習をしていたので、上尾シティハーフマラソンではひとりになった局面でもしっかり走れました。ロードへの苦手意識はありませんし、コンディションを仕上げれば、さらにいい走りができるはず。箱根駅伝が楽しみです」と初の大舞台へ向けて、自信を口にする。
本当のエースとなるために
今季の法大は前回6区で区間賞の武田和馬、そして1年時から主力としてチームを支えてきた主将の小泉樹、さらに前回1区の宮岡幸大など4年生に実力者が揃う。大島はそこに比肩する実力者だが、本人は自分のことをエースとは考えていない。
「心強い先輩がいますので、まずは自分がしっかり走ることを考えたいです。それに10000mでベストを出したレースでも早稲田大学の山口(智規、3年)君、中央学院大学の吉田(礼志、4年)さんなど、他大学の絶対的なエースとは差を感じました。得意なトラックで差を感じるのですから、今まで苦手だったロードの23kmで戦うとすれば、もう一段階、力を上げなければなりません。箱根駅伝までにできることは限られますが、『来年のエース』と言われる結果を残したいと思っています」
坪田監督も同意見だ。
「確かに記録はいいものを出しましたが、本当のエースとは普段の練習での振る舞いも求められますし、何より駅伝などの大舞台での強さを見せる選手でないといけません。大島はそうなれるだけの資質は十分に備えていますので、今回の箱根駅伝、そして来年の関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)までビシッと走ってほしい。それでこそ法大のエースであり、真の意味で法大記録を塗り替えた選手と言えるはずです。まずはそのきっかけをつかんでほしいと思います」
今回、法大が目指すのは総合5位。「坪田監督史上最強への挑戦」として、選手たちは2013年の現監督就任以来の最高順位を目指す。そこに貢献する走りを見せた時、大島は真の法大のエースに近づくはずだ。