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日本代表「3戦3敗の敵地6万人超サウジ戦」W杯へ“最高の予行”と現地記者が見るワケ…予想先発は「1トップ上田綺世。南野拓実と鎌田大地を」
posted2024/10/10 19:20
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
今回の試合は、北中米W杯優勝を目標とする日本代表にとって“最高の環境”で行なわれる。
「僕も含め、チーム全体でアウェーの難しさはわかっているはずなので。そこは想定しています」
W杯最終予選(3次予選)最大の山場であるサウジアラビアとのアウェーゲームを翌日に控え、キャプテンの遠藤航は、一筋縄ではいかない試合であることをしっかり理解していた。
客席が屋根で覆われ、声援が反響する6万人超収容のキング・アブドゥラ・スポーツ・シティ・スタジアムは日本の選手にとってやりづらくなるだろう。森保一監督もこう警戒する。
「大観衆の中、監督やコーチの声がピッチ上になかなか届かないのかなという想像はできます」
最も相手サポ優勢だったブラジルW杯コロンビア戦
それでも“最高の環境”だと言えるのは何故か。それは、本大会での厳しい環境を想定した上では、またとない予行演習の機会になるからだ。
筆者は2006年ドイツW杯から、日本代表のW杯での試合をすべて現地で取材(観戦)してきた。
その18試合のなかで、日本にとって最もアウェーの環境での戦いを強いられた一戦を選べと言われれば、瞬時にあの試合を挙げる。
2014年ブラジルW杯のグループリーグ第3戦、コロンビア戦だ。
あのときは、スタンドに足を踏み入れた瞬間、黄色く染まったスタンドが目に飛び込んできた。試合終了間際には同国の英雄とも言えるGKファリド・モンドラゴンが交代で当時のW杯歴代最年長出場を果たし、場内は割れんばかりの歓声に包まれた。完全アウェーのなかで日本は1-4と完膚なきまでに叩きのめされ、最後は相手にGKを交代されるという屈辱まで味わわされた。
あの試合はブラジルのなかでもサッカーが盛んではないクイアバという都市で行なわれたのだが、そんなことは関係なかった。「南北アメリカ大陸で行なわれる試合では、これほどまでにコロンビアのサポーターが応援に来るのか!」と思い知らされた一戦だった。
かつてトヨタカップが日本で行なわれていたころ、中継局のアナウンサーが「日本に来てこの試合を観戦するために、自家用車を売ってまで渡航費を捻出したそうです」というような南米代表チームとサポーターのエピソードを毎回のように伝えていたのを記憶している人もいるかもしれない。
彼らにとって、サッカーとはそれほど大きな存在なのだ。
北中米W杯本番は“アウェー化”の可能性が高い
忘れてはならないのは、次回の北中米W杯は彼らにとって非常に観戦しやすい環境だということだ。