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「“きょうだい児”という言葉も初めて知って」初代バスケ選手会長・岡田優介(40歳)が語る障害児育児のリアル「息子のことを公表した理由は…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by本人のInstagramより引用
posted2024/10/06 11:01
公認会計士の資格も持つ「文武両道」バスケ選手として有名な岡田優介。2児の父でもある岡田だが、長男の朔玖君は知的障害と自閉スペクトラム症を持つ
「きょうだい児」。
聞き慣れないかもしれないが、これは障害のあるきょうだいを持った子のことを指す。妻が調べてきた資料には「きょうだい児がもっとも苦労する」という意見が書かれていた。親が亡くなった後、障害のある子をケアする役割が、親からきょうだいへと変わる。そのとき、以下のように思う子がいるという。
「障害を持つ子がいながら、なぜうちの親は私を産んだのか」
朔玖君の障害が確定した時には第二子となる女の子が既にお腹の中にいたが、そうした情報を目にした妻が心配する気持ちは理解できた。ただ、岡田にとっては「そうなんだ」という程度の感覚だった。だから、妻にはこう伝えた。
「大丈夫だよ!だって、娘はオレが父親だよ?『普通』の考えするわけないじゃん(笑)」
岡田がよく口にする言葉がある。「自責思考」と「他責思考」だ。
前者は、何かの問題に直面したときに、自分の責任の範囲内でやれることを考えていく人の思考法だ。後者は問題の責任を自分以外に求め、時に不満を抱えることにもなる。責任を自分以外に求めることは、時に心を守ることにも繋がり、一概に悪いことというわけではない。ただ、少なくとも自己の技術を高めることを求められるプロスポーツ選手にとっては、マイナスに作用することが多い。
そんな要素もあってか、岡田は自責思考が強いタイプの人間だ。バスケットボール選手として日本代表にまで登りつめられた要因の一つも、そこにある。スポーツの世界における大切な考え方で、バスケの世界でもしばしば言われることがある。
「コントロールできることと、できないことを認識し、コントロールできることだけにフォーカスすべき」
「子どもがどう考えるかも、親の考え方次第」
バスケの世界で言えば、コントロールできるのは、自分がどういう努力をするか、どのようなプレーを選択するかなどだ。コントロールできないのは、対戦相手の調子、審判のジャッジ、試合のスケジュールということになる。岡田はコントロールできることにフォーカスし続けてきた。
「結局子どもがどう考えるかも、親の考え方次第かなと。僕はこの平和な日本という国で、これだけテクノロジーが発達した時代に生まれただけでも奇跡的な幸運の持ち主だと思っています。世の中にはもっと大変で、命の危険さえある環境で生き抜いている人も沢山います。何かに対して文句を言う人は結局、どれだけ恵まれている環境であっても何かに対してずっと文句を言っているとも思うんです」