Number Web MoreBACK NUMBER
“井上尚弥vs中谷潤人”は実現するか? あのネリ戦を目撃した中谷本人が明かす「モンスターへの本音」 弟・拓真との統一戦を熱望する理由―2024年上半期読まれた記事
posted2024/09/21 06:01
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph by
Kiichi Matsumoto
2024年の期間内(対象:2024年5月~2024年8月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。格闘技・ボクシング部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024年5月31日/肩書などはすべて当時)。
井上尚弥について、中谷潤人が印象に残る試合として真っ先に挙げたのは、2019年5月のエマヌエル・ロドリゲス戦。そしてもう一つが、2019年11月のドネアとの初戦だった。
2回にドネアの左フックを浴び、井上は右目の上をカットし、右眼窩底骨折を負った。しかも、右目の視界はぼやけ、ドネアが二重に見える状態に陥った。
井上尚弥は、相手に弱みを一切見せない
「あのフックをもらってからのリカバリーだったり、相手に隙を与えない、相手に分からせないようにすることだったり。普通は不利な状況になったら、そういうところは出やすいと思うんです」
井上は最後まで右目の異変をドネアに悟らせず、熱戦を制した。
ボクサーは誰もが対戦相手の状況を可能な限り読み取ろうとする。中谷が意識するのはラウンド終了のゴングが鳴ったとき。対戦相手と離れる間際、「闘い」から「休憩」へと切り替わるその瞬間、相手は素の表情を見せるという。
「ラウンドが終わった瞬間は気を抜くので、(表情などに)出る選手が多いんです。ダメージの状況や感情、気持ちが出やすい。ため息をつく選手も結構います。あっ、嫌がっているな、と感じ取ることができる。そういったところを観察していますね」
世界戦のリングに上がる選手は百戦錬磨。あらゆる情報を得るため、相手を徹底的に観察する。そんな猛者たちの目をかいくぐり、井上は相手に弱みを一切見せない。トラブルがあったとしても、気づかせないようにする。それもまた井上の優れた点だと中谷は強調した。