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「僕がいた時にはこんなチーム作れなかった」男子バレー敗戦…柳田将洋が惜しむ“史上最高のチーム”の終焉「キャプテン石川祐希に今、伝えたいこと」
text by
柳田将洋Masahiro Yanagida
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/06 12:33
パリ五輪準々決勝でイタリアに逆転負けを喫したバレーボール日本代表。キャプテン石川祐希も涙を堪えることができなかった
この日本代表がスタートした2017年。僕もその中で戦っていた頃は、世界と戦う上で足りないものがハッキリとしていました。強いサーブに対していかにポイントをとられず、パスが割れたところから攻撃を展開できるか。ミドルブロッカーは横の移動を速くして、1回でも多く(ブロック)タッチが取れるか。有り余るぐらいたくさんの課題を一つ一つクリアして、日本代表は強くなってきました。
バレーボール選手として失格かもしれませんが、この試合で何が足りなかったのか、何が勝敗を分けた差なのか、僕はうまく言葉にできません。それぐらい日本代表は自分たちがやるべきことを信じて遂行し続け、究極のバレーボールを見せてくれました。でもイタリアが、最後にその日本を上回ってきた。
どのレベルでも、負ける試合には必ず負ける理由があります。でもそれが見つからない。そう断言できるぐらい、今まで積み重ねてきたものを存分に発揮していたと思います。だから「何が足りなかったか」と聞かれるならば「僕が知りたいです」としか答えられません。
「あそこでこうしていれば」
「あの時こうなっていたら」
そうやって責められるようなプレーは一つもなかった。それほど精度の高いバレーボールと正しい選択を重ねていた。この壁を超えるための課題を見つけることが、日本のこれからの課題になる。もはや、その境地にいると思います。最後まで前を向いて、いい顔をして戦い抜いた選手たちにはリスペクトしかありません。これほどまでにすごい試合を繰り広げた選手に心から「お疲れさま」と言いたいです。
石川に「そんなことないよ」と伝えたい
そうは言っても、コートに立った選手たちは悔しいでしょうし、その気持ちも痛いほどわかります。
試合後、石川選手が「自分が1点を決められなかった」と自らを責めるコメントを発していました。オリンピックという舞台で、しかもあれだけ本気のイタリアと戦った経験が僕にはないので想像でしかありませんが、あの状況であれこれ頭で考えていたら負けてしまう。もちろん状況判断は求められますが、緊迫した状況でチームを勝たせる1本を決めるというシチュエーションは想像を絶します。「決められなかった」と悔やむ気持ちもわかりますが、決めさせてくれないイタリアが本当に強かった。
個人としては「自分のせい」と責める石川選手に「そんなことないよ」と声をかけたい。石川選手こそ「やり切りました」なんて絶対に言わないことはよくわかっていますが、それでもやっぱり「そんなことないよ」と言いたい。僕だけでなく、日本中の人たちも同じ気持ちではないでしょうか。