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「引退のことだけは知っていた」女子バレー古賀紗理那28歳が親友に明かした“人生設計”「結婚とか大事なことはいつもサラリと言うのに…」
posted2024/08/05 11:01
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
望んだ最後とは違う。
バレーボール予選ラウンド最終戦のケニア戦でストレート勝利を収め、女子日本代表は集合写真の撮影に応じた。前列中央には、主将の古賀紗理那がいる。
ゲームセットの瞬間は笑顔で、これまでと同じようにベンチのメンバーや13人目のリザーブ、山岸あかねを「一緒に喜ぼう!」と呼び込む。円になって跳びはねながら、ようやくつかんだ今大会の初勝利を称え合った。
変わらぬ姿、いつも通りはここまでが限界だった。
何パターンかの撮影が終わろうかという時、古賀が泣き崩れた。地面に両手と顔をつき、人目をはばからずに泣く。撮影後に収められた別角度の写真には、タオルで顔を覆っても抑えきれず、涙が止まらない古賀を山岸や小島満菜美、林琴奈たちがなだめ、輪の一番後ろではうつむき嗚咽する山田二千華の姿も写っていた。
まだこの時点では、他力とはいえ、次に進む可能性が潰えたわけではない。そんな言葉も虚しく聞こえるほど、常に走り続けてきた古賀の涙を見て、終焉を悟る。
涙を拭い、コート内でのフラッシュインタビューに応じる。どんな思いでこの試合に臨んだのか。またタオルで溢れる涙を拭いながら、古賀が答えた。
「今日はキャプテンとかそういうのは考えずに、バレーボールが大好きな古賀紗理那として戦いました」
オリンピック直前に発表した電撃引退
パリ五輪開幕前の7月9日。古賀は自身のインスタグラムでパリ五輪での現役引退を発表した。
驚きの声が上がる中、日本代表はフランスでの合宿を経てパリに入り、選手村に入村した。
古賀自身が「最後」と決めて臨んだ五輪。集中力を切らさぬようにと連絡を控えていた親友の白井美沙紀のもとに、古賀から突如連絡が来たのも同じ頃だった。