酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「選手起用が気に入らない、と言ってきた(笑)」慶応・森林監督の“ブレない球児時代と今”「僕は昭和の人間ですが…」上田誠前監督が明かす
posted2024/07/13 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
慶応義塾大学出身のプロ野球選手は数多いが、その中で、慶応高校の出身者は意外なほど少ない。
上田誠氏が監督に就任する以前に、プロに行ったのは国鉄スワローズの外野手だった赤木健一と、慶応義塾大学時代に完全試合を記録し、南海ホークスに進んで先発投手として活躍した渡辺泰輔(2023年12月に死去)の2人だけだった。ちなみに昭和の映画スター赤木圭一郎は、慶応義塾大の有名選手だった赤木にあやかって命名された芸名だ。
西武ライオンズの外野手だった佐藤友亮(現日本ハム、ファーム打撃コーチ)は、推薦制度以前の選手。渡辺泰輔のプロデビューから36年ぶりに出た慶応高出身のプロ野球選手だった。
佐藤友亮は野球がダメだったらロースクールに…
上田は語る。
「佐藤は純粋に勉強で入学した選手でしたが、僕が見た選手の中で、一番運動能力が高かった。球技をやらせても、走り幅跳びでも、みんな一番でした。頭も良くて、野球がダメになったらロースクールに行って弁護士になるって言ってました」
推薦制度ができて以降は、たびたび慶応高出身の選手がプロ入りしている。
日本ハムで救援投手として活躍し、のちに外野手に転向した白村明弘(2013年ドラフト6位)。巨人、阪神を経て現在は中日でプレーする内野手の山本泰寛(2015年5位)。広島の救援投手の矢崎拓也(旧登録名は加藤、2016年1位)。楽天の救援投手・津留﨑大成(2019年3位)。ソフトバンク外野手の柳町達(2019年5位)。千葉ロッテ捕手の植田将太(2019年育成2位)。ヤクルトのセットアッパー木澤尚文(2020年1位)。ソフトバンクの外野手・正木智也(2021年2位)、同じく内野手・廣瀬隆太(2023年3位)である。
全員が慶応義塾大学を経てプロ入りして、白村を除く8人が今も現役。今年はソフトバンクで柳町、正木、廣瀬の3人がスタメンにそろい踏みした試合もあった。
柳町に木澤…「いい選手が。頼もしいですね」
現役選手の出身高校別のランキングでは、大阪桐蔭(大阪)が21人で最多。以下、横浜(神奈川)が19人など10人以上を輩出した高校は8校ある。慶応高校は14位タイだが、ほぼ全員が一軍で活躍、一大勢力になりつつある。