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“藤井聡太くん大泣き”から10年後「公式戦初対局」までの物語…「高校を自主退学して将棋に専念」伊藤匠と藤井聡太の共通点とは
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byJIJI PRESS/Takuya Sugiyama
posted2024/06/21 06:00
伊藤匠新叡王と藤井聡太七冠。“藤井世代”が今後の将棋界をどう引っ張っていくか
2017年度(1期目)は、千田翔太六段、森内九段に勝ち、3回戦で稲葉陽八段に敗れた。2018年度は、1回戦で今泉健司四段に敗れた。2019年度は、阪口悟六段に勝ち、2回戦で久保利明九段に敗れた。2020年度は、塚田泰明九段に勝ち、2回戦で木村一基王位に敗れた。2021年度は、2回戦で深浦康市九段に敗れた。
藤井のNHK杯戦での通算成績は、今期を含めて5勝5敗。公式戦で8割台の通算勝率を挙げているので、意外な記録である。
藤井は詰将棋で鍛えた読みの深さと早さを生かし、短時間の棋戦を苦手にしてはいない。ただNHK杯戦では、1手30秒の秒読みに追われがちで、終盤の土壇場でのミスは致命傷になりかねない。
藤井は伊藤との対局で、10分の持ち時間(1分単位で10回の考慮時間)のうち2分を残した。今後のNHK杯戦では、秒読みにならないような持ち時間の使い方を心がけるだろう。
NHK杯で最も優勝を果たしたのは、あの大棋士
NHK杯戦の歴代優勝者の優勝回数は、羽生善治九段が最多の11回。次いで大山康晴十五世名人が8回、加藤一二三・九段が7回、中原誠十六世名人が6回と続く。
長時間のタイトル戦を戦ってきた超一流棋士は、短時間の棋戦も強い、ということが分かる。藤井五冠も、いずれはその仲間に入ってほしいものだ。
藤井五冠は今期のNHK杯戦でベスト16に進出している。次の対戦相手は、三浦弘行九段ー佐藤天彦九段戦の勝者。少し気が早いが、初優勝を期待したい。
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