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「誰ひとり雰囲気を変えるプレーができなかった」堂安律25歳がドイツで語った“アジアカップ敗戦”「苦しい時に流れを変える選手にならなくては」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2024/02/26 17:03
アジアカップ後、ドイツに戻り、フライブルクでプレーする堂安。アジアカップでの敗北について話を振ると…
自分の力で流れを変える。その思いはずっと持ち続けていたのだ。22-23シーズンのホームでのシュツットガルト戦後にこんなことを口にしていたのを思い出す。
「観客を魅了できる選手というのは、仕掛ける選手だと思う。見てて楽しい選手とか、ワクワクする選手になりたいです。だったらもっと仕掛けて。1対1だったら間違いなく仕掛けることを意識してますし、1対2とかでも仕掛けるようにしています」
これまでも「こうでありたい」「こんな選手になりたい」という思いが心を占めていたのだろう。それが様々な経験を積み、国際舞台で様々な悔しさとふがいなさとむきあったことで、「こうならないと」「自分がこういう選手にならなければ」という責任感に発展したのではないだろうか。願望は強靭な覚悟へと変わりつつある。
堂安の義務とチャレンジ
ブンデスリーガの舞台でチャレンジを繰り返している。前述のフランクフルト戦でも相手にリードを許す終盤に、相手ゴール陣内右サイドの深いところでボールを持つと、小刻みなステップからドリブル突破を狙う。必死にボールを奪いにくるフランクフルトDF2人を揺さぶり、3人目のところでブロックされた。スタジアムからは少しのため息。でもすぐにサポートの声がピッチに送られる。フライブルクのファンは、堂安の闘志あふれるプレーが好きなのだ。
「自分のポジション的に(ボールを)失うことを恐れてプレーするのは良くないんで。失っても、何回もチャレンジする気持ちが必要。今日はトライすることができたんで、なぜ成功しなかったのか突き詰めたいと思います」
違いを生み出す選手を目指すからといって、そのことばかりをやっていたら試合には出られない。サッカーは様々な要素が求められるスポーツだ。チーム戦術がある中で、個の力が発揮されなければ武器にはならない。