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性加害疑惑で裁判所に記者が殺到。憔悴したアウベスへの複雑な思い。
posted2024/02/26 09:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Shin Toyofuku
カンプノウのライン際を元気よく駆けあがっていた頃の躍動感は感じられなかった。裁判所のダニエウ・アウベス。憔悴し、髪も随分と抜け落ちた。13カ月間拘置所で過ごしたその姿をカメラにおさめるため、バルセロナの裁判所に世界から300人を超える報道陣が駆けつけた。
2022年12月、バルセロナのクラブ「サットン」の密室での女性への性暴力で逮捕され、当局は懲役9年を求刑。今年2月に法廷に姿を現したアウベスの写真は各一般紙のトップを飾った。運動面ではなく社会面を割く長い記事。最後の審判は下ってはいないが、写真に漂うのはすでに犯罪者のイメージだ。少なくともプロの舞台でボールを蹴ることはもうないだろう。紙面にはアウベスの母親や兄弟も共犯者かのように写っている。この世界では、選手の家族にもプライバシーは存在しない。