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浦和レッズ“ヘグモ先生”のカリキュラムが応用編へ…カギは小泉佳穂いわく「監督の正解を知っている」グスタフソンの頭脳〈J1キャンプレポ〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTatsu Ikeda
posted2024/02/07 17:02
現役スウェーデン代表のグスタフソンは浦和レッズのキーパーソンとなるか
キャンプ序盤は「全員がポジションを守りながら、決められた仕事をこなすイメージがある」と話していたが、今は「新しいものがどんどん出てきているし、『あそこに動いても良かったんだ』っていうことが増えている」と言うのだ。
例えば、ビルドアップひとつとっても、これまではアンカーもインサイドハーフも頑なにポジションを落とさなかったが、鳥栖戦ではインサイドハーフがアンカー脇までヘルプに来たり、アンカーが最終ラインに加わる場面もあった。
そのあたりの臨機応変さは、まさに前日の囲み取材で指揮官が語ったとおりだった。
「中盤の選手にはできるだけ高い位置でプレーをしてもらいたいですが、状況によっては間に落ちてきてもいい。インサイドハーフが上がっていって、トップ下のようなポジションを取ることもあります。そのためには前の3人がしっかりと高い位置で張っていることが必要で、それによってスペースが生まれます。
あとはサイドバックの位置も重要です。良い角度で、下がって受けるのか上がっていくのか、そういった高さの調節も必要となります。相手がプレスをかけてきたら、(西川)周作の(相手DFの)背後へのボールもあります。もちろん、中盤を経由していきたいですが、ダイレクトなプレーもできるようにしたい。このサッカーをプレーするためにはスキルが必要ですが、ここにはそれがあると思います」
教え子グスタフソンの“頭脳”を感じる場面が
こうしたヘグモ式サッカーにおいて鍵を握るのが、指揮官のヘッケン時代の教え子で、スウェーデン代表ボランチのサミュエル・グスタフソンだ。
懐の深いキープでボールを失わず、静と動のメリハリも素晴らしい。ワンタッチで相手の背後を狙ったかと思えば、ダイナミックなサイドチェンジで局面を大きく変える。
「僕は6番の選手(ボランチ)ですが、ゴールを量産するためにクリエイトもしたい。今回(鳥栖戦)のポジションもちょっと高かったんですけど、ラストパスを出すことも常に考えています」
4日前の名古屋戦ではサイドバックにボールが入った際、グスタフソンがサポートに行かずに中央にとどまり、酒井宏樹が孤立しがちだったのが気になった。
ヘッケン時代もグスタフソンはサイドまで顔を出すタイプではなかったが、浦和の選手たちのプレー距離と合わないのではないか、と危惧していた。
しかし、鳥栖戦ではサイドバックの近くまで寄っていき、パスコースを作っていた。