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張本美和と伊藤美誠の「明暗」はなぜ分かれた? 女子卓球“最後の1枠”争いはこうして決着した…明らかになった「選考レースの問題点」
posted2024/02/07 11:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
2月5日、日本卓球協会はパリ五輪の男女日本代表選手を発表した。
すでにシングルスの代表となっていた男女各2名に加え、団体戦メンバーの選考、特に女子の選考には大きな関心が集まっていたが、シングルスの早田ひな、平野美宇に続き張本美和を選出。伊藤美誠のリオデジャネイロ、東京に続く3大会連続代表はならなかった。
「ほんとうに悩んで悩みました」
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女子代表の渡辺武弘監督はこう語っている。伊藤と張本のどちらが選ばれるのか、発表されるまでさまざまな議論が生まれるほど両者は拮抗していた。
選考の核は「打倒中国の可能性」
選考ポイントでは3位が伊藤、4位が張本。世界ランキングでは伊藤が日本勢2番手の10位、張本が日本勢3番手の16位(1月30日現在現在)。伊藤には数々の舞台をこなしてきた経験もある。
一方の張本は、五輪選考レースがスタートした2022年の選考会での最高成績はベスト8が一度、それ以外はベスト16であったが2023年になると11月の全農カップ大阪大会で早田を決勝で破り優勝したのをはじめ準優勝も2度記録と、成績の向上は著しかった。また国際大会でも実績を積み重ね、成長曲線を描いてきた。15歳という年齢からしても、ここからパリ五輪までの期間の伸びしろにも期待が持てる。
それぞれに強みとする要素があった。
ただ、選考ポイントの上位2名がそのまま選ばれるシングルスと異なり、団体戦メンバーを選考する観点の核となるのは、長年追い求めてきた打倒中国の可能性だ。団体戦に選ばれた選手も、5試合中2試合は出場することになる。そして5試合のうち1試合はダブルスがあることも考慮される。その点が最終的に選考を決定づけることになった。