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張本美和と伊藤美誠の「明暗」はなぜ分かれた? 女子卓球“最後の1枠”争いはこうして決着した…明らかになった「選考レースの問題点」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/07 11:01
パリ五輪の出場予定選手に選ばれた張本美和と平野美宇
成長度合いをとらえきれない「選考レースの問題点」
拮抗する代表選考の中で両者の明暗が分かれた要素には、急成長を描いてきた張本に対し、伊藤は苦しい内容を強いられる試合がしばしば見られたことも否めない。対戦相手から研究される中、それに対応してプレーを変えていくことがなかなかできなかった面があった。気持ちを奮い立たせる時間も少なかったうえに、先に記したように自身のプレースタイルを変化させていくゆとりもなかった。
代表選考が終わった今だからこそ、パリ後を見据え、選考のスケジュールや内容に関してのレビューも必要だろう。2年間続くスケジュールと選考対象大会の数は、伊藤に限らず大きな負担を選手に強いた。また、張本のように急成長してきた選手をとらえきれない感もある。伊藤か、張本か、と団体戦代表を巡る選考になったが、3番目を争っているという位置におさまらないほど、張本の成長の度合いは大きかったとも言える。
いずれにせよ、代表選考は終わった。
早田ひな、平野美宇で臨むシングルス、そこに張本が加わる団体戦、目標とする打倒中国へ向けて、パリへと進んでいく。