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「野球しようぜ」大谷翔平の故郷・奥州市で250人の小学生が野球教室に参加…全国に寄贈された「大谷グローブ」はどう受け止められている?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2023/12/31 17:00
大谷翔平の生まれ故郷・岩手県奥州市で開催された「プレイボールフェスタ」会場の体育感に飾られていたユニフィームやサインボールの数々
近隣7つの高校の野球部員95人がそれぞれのブースで守備、攻撃などを指導したが、「野球の道具がない子たちにも楽しんでもらうため」に各チームはミーティングを重ね、ガムテープを丸めたボールでの打撃練習、ティーバッティングのストラックアウトやテニスボールをラケットで打つ守備ノックなど、小学生が楽しめる工夫をしていた。
高校生たちが丁寧に守備練習を教えたり、威勢よく声がけをすると、小学生たちは大きな笑顔で呼応する。
守備を担当した水沢商業高校の千葉琉生くんは「小学校から高校までで習う守備の基本的な足運びとハンドリングとリリースを担当しました。小学生でも分かるように優しく説明しようとチームで話し合いました」と、バットの代わりに手で打つハンドベースボールをした水沢工業高校のキャプテン、佐藤琉羽彩くんは「楽しくプレーしてもらえるように声がけなどを意識しました。特に相手が小学生なので、傷つけないように丁寧に話すよう心がけました」と教えてくれた。
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小学生たちは「うまい人とキャッチボールして楽しかった」「高校生が優しかった」と高揚気味に話した。
2つの体育館をつなぐ廊下には、郷土の英雄、大谷のユニフォームやサインボールや、中学生の頃に同施設で職業体験をした大谷の写真も飾られている。
次の大谷がまたここから出てくるかもしれない。そんなことを考えながら、2つの体育館を行き来した。
イベント終了後、高校生が向かい合って整列してアーチを作り、小学生たちがその下をくぐりながら退場したが、その際の声がけも心に残った。
「また野球しようぜ」
「野球続けてね」
高校生たちからのメッセージに小学生たちははにかんだり、モジモジしたり。でもお兄さんたちの熱い気持ちは十分に伝わっていたはずだ。
千葉くんと佐藤くんは「僕たちも子供の頃に野球の楽しさを教えてもらったので、それを次の世代に伝えていきたい。野球人口が減っているので、なんとかして増やしたいし、(小学生に野球を)続けてもらうためにはどうしたらいいかを考えながらイベントに臨みました」と口を揃える。
夏の高校野球県大会では3校、4校の合同チームで臨む学校も増えている。今回、イベントに参加した高校も合同チームで出場した経験を持つ。
「野球続けてね」という言葉には、彼らの切実な思いが込められている。