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「野球しようぜ」大谷翔平の故郷・奥州市で250人の小学生が野球教室に参加…全国に寄贈された「大谷グローブ」はどう受け止められている?
posted2023/12/31 17:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Ayako Oikawa
「野球を通じて元気に楽しく日々を過ごしてもらえたら嬉しいです。
このグローブを使っていた子供達と将来一緒に野球ができることを楽しみにしています! 野球しようぜ!」
大谷翔平選手が全国の小学校にグローブを3つずつ寄贈するというニュースに日本中が沸いた。
突然の知らせに戸惑いもあったのだろうか。
「3つだけもらっても」「盗まれたり、ボロボロになったら困るから飾る」というような「大人側の」意見もちらほらと目にした。
メッセージを受けた子供たちはどう思っているのだろう。そう思い、大谷の地元、岩手県奥州市で野球をする小学生男子たちに「大谷グローブ」について尋ねたところ、「うーん。なんか(ニュースで)聞いたけれど……」「使ってみたいけど……」とこちらが期待するような返事は返ってこない。実物が届いてお披露目されたら一気に盛り上がると思うが、ニュースだけではピンときていない子どもも多かった。
「大谷グローブ」を使ってみたい
一方でグローブの到着を今か今かと待ち侘びている子もいる。
大谷の母校、花巻東高校から車で10分ほどの場所に住む小学3年生の野球少女かのちゃんは、小さな野望を教えてくれた。
かのちゃんは地元の野球チームに加入している。女子はチームに一人だが、2歳年上の兄も所属しており、コーチやチームメイトも男女の差なく接してくれる。
イキイキと楽しそうに練習しているように見えたが、かのちゃんは時々寂しくなる。
その胸の内を明かしてくれた。
「(女の子の)友達に野球しようって誘っても、やらないって言うの」
なかなかシビアな悩みだ。
「かのちゃんは野球が好きなの?」
そう尋ねると、まっすぐ前を見てこう答えた。
「うん。大好き」
「そっか。好きな選手は?」
「大谷選手!」
その流れで大谷のグローブについて尋ねると、真っ直ぐこちらを見つめた。
「使ってみたい。そのグローブでキャッチボールしようって、お友達を誘いたいの」
友達がチームに入ってくれるかは分からない。でも大好きな大谷選手のグローブを使って、大好きな野球を仲良しの友達としてみたい。自分が好きなことを友達と共有したい。そう考えている。
かのちゃんに限らず、大谷グローブを使ってキャッチボールしてみたい、友達を誘いたいと考える小学生は全国各地にいるはずだ。
未来に野球を繋ぐ。
大谷の思いはしっかりと子どもたちに伝わっている。
大谷の地元の野球をつなぐ取り組み
12月中旬、大谷の生まれ故郷、岩手県奥州市の体育館には賑やかな声が響き渡っていた。
岩手県高野連北奥支部が開催した「高校生と小学生の交流会、プレイボールフェスタ」には、250人の小学生が参加し、高校球児たちと野球を楽しんでいた。