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阪神・岡田彰布監督がいま明かす“18年ぶり”優勝秘話…4番を佐藤輝明でなく大山悠輔に決めたワケ「よくもまあ、ここまで強くなったもんや」 

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内匠宏幸

内匠宏幸Hiroyuki Takumi

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photograph byTadashi Hosoda

posted2023/10/06 17:01

阪神・岡田彰布監督がいま明かす“18年ぶり”優勝秘話…4番を佐藤輝明でなく大山悠輔に決めたワケ「よくもまあ、ここまで強くなったもんや」<Number Web> photograph by Tadashi Hosoda

阪神タイガースを率いて2005年以来、18年ぶりにリーグ制覇した岡田彰監督が“優勝秘話”を明かした

 先頭の佐藤輝明が右翼の動きを見て、二塁を陥れる好走塁の二塁打を放った。続く代打の糸原健斗が、渋い二ゴロの進塁打で好機を拡大。貴重な追加点を奪った。

「絶対、勝たなあかんゲームって、あるからな。そら、開幕よ。セーブなんか、開幕戦は関係ないよ。去年の負けた試合を初戦は思い出したよ。オレは関係ないけど、選手が思い出すやん」

 昨年の開幕戦。阪神は7点リードしながら、ヤクルトに強烈な逆転負けを食らった。1点をおろそかにし、勝ちパターンのリリーフ投手から使わなかったことに起因していた。岡田は評論家として、「どうして自分たちの勝ちパターンを崩したのか? それが疑問なんよな」と指摘していた。

 1年後の開幕戦は、DeNAに詰め寄られた。2点差と3点差。この差が9回表の守りに大きく影響する。岡田の思惑通り、1点を奪い、苦しみながらも逃げ切った。

 3戦目も2点リードの8回2死一塁で、中野拓夢が二盗に成功直後、島田海吏の打席途中にもかかわらず、原口文仁を代打に起用。左越えの2ランで突き放した。

「あれも点を欲しかったから代打を使った。ただ、ホームランを打てると思って代打で使ってない。まずはヒット。2点差だと、まだ分からんかったからな。あの1点の重みを選手に伝えたかった。今年は7、8回にものすごく1、2点取ってるわ。相手が、この1点で“もうあかん”と思う、ダメージの大きい1点をな。そういうのが大きい」

 これが岡田のスタイルである。1点の積み重ねで成り立つのが野球だと考える。だから監督に就任し、打線には「1点を取ることを教える。オレが1点を絶対に取らせにかかる」と宣言していた。シーズンが始まると、その通りの采配を見せた。

キャプテンを廃止、「オレがCマークをつけてもいい」

 岡田の熱い気持ちは打席に、フィールドにあった。今年からキャプテン制を廃止。選手会長は近本光司に任せたが、あえてキャプテンを選ばなかった。余分な負担をかけないためだったが、ある時、こう言った。

「オレがCマークをつけてもいい」

 選手の最年長が33歳という若いチームだ。それを率いていくには、それ相応の覚悟が必要だった。「だからオレがキャプテンマークをつけてもいいくらいに、引っ張っていく。実際には無理な話やけど、気持ち的にはキャプテン」と言い切った。

 昨年の秋季キャンプから「岡田の改革」がスタートした。強いタイガースにするために、何を選手に伝え、教えていくべきなのか。岡田に迷いはなかった。野手には守備の基本を繰り返し説き、内外野の連係プレー、走塁など、とにかく基本に立ち返り、コーチを間に挟んで、理解させた。

【次ページ】 岡田「オレ、これがうれしかったわ」

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