ラグビーPRESSBACK NUMBER
「日本は制度が整っているのに…」「ハワイで出産、育児」山田ローラが感じた“育休文化の違い”とは? 夫・山田章仁に看護師がかけた一言
posted2023/09/28 17:05
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
提供:山田ローラさん
章仁選手のパパとしての素顔や、我が子の“叱り方”を巡る考え方の違い、そして夫婦で共有している子育て方針などについて聞いた。【NumberWebインタビュー第3回/#4に続く】
◇◇◇
――2016年に生まれた双子のお子さんとともにハワイに移住したのはどんなきっかけだったのでしょう?
山田ローラさん(以下、ローラ) 当時、山田は海外リーグや代表合宿で各国を飛び回っていて、年の半分以上は都内の自宅を空けているような生活でした。その間、私はひとりで子育てをしなければならなくて、精神的に落ちてしまうことも多かったんです。夫のご両親は福岡、私の両親はアメリカ・アイオワ州に住んでいて、それぞれの実家を頼ることも難しく、周りに頼れる人がなかなかいなくて……。
そんな境遇を心配した彼から「両親の近くにいたほうがいいならアメリカに戻ってもいいんだよ」と言われたんです。とはいえ、アイオワ州は日本からかなり遠いので、頻繁に会うことが難しくなってしまう。そこで最終的に落ち着いたのが、日本から比較的行きやすいハワイに移り住んで、そこに私の両親を呼び寄せて暮らすという案でした。落ち込んでいた気持ちのリフレッシュという意味でも、ハワイはちょうどいい場所だったと思います。
育休文化の違い「日本は制度が整っているのに…」
――海外遠征の多かった章仁選手は、どのくらいの頻度でハワイに来ていたのでしょう?
ローラ 当時は日本チームの「サンウルブズ」(2020年に解散)に所属して、海外リーグに参戦していたので、世界各国の遠征先から駆けつけていましたね。2週間に1回くらいはハワイに来て、2日くらい過ごしたらまた合宿や試合先に戻るというスタイルでした。それでも当時はすごく助けられたなと思っています。
――たとえばMLBでは家族の出産に立ち会うため試合を休む選手も珍しくありません。日米でアスリートの育休文化の違いを感じることはありましたか?
ローラ そうですね。日本って育休制度自体は整っていると思うんです。アメリカの場合、男女ともに年12週間の休暇しか認められず、その間は無給となり、国から公的補助が出ることもありません。不思議だなと思ったのは、日本のほうが制度的に整っているのに、アメリカの男性のほうが育児に対する意識が高いこと。
だからこそ、選手が妻の出産に立ち会うために試合を欠場しても「え? なんで?」とはならないんですよね。妻のために近くにいるべきという考えが浸透しているのだと思います。なので、ハワイでの3、4人目の出産には、夫もそれぞれ立ち会っています。所属しているチームは違ったのですが、両チームとも理解があってありがたかったですね。