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「日本は制度が整っているのに…」「ハワイで出産、育児」山田ローラが感じた“育休文化の違い”とは? 夫・山田章仁に看護師がかけた一言
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by提供:山田ローラさん
posted2023/09/28 17:05
2015年に当時ラグビー日本代表だった山田章仁と結婚し、現在は4児の母でもある山田ローラさん
看護師の言葉「おっぱいをあげる以外は全部しなさい!」
――育休制度の有無に関わらず、夫婦で協力して子育てをするという意識が強いのですね。
ローラ 日本でいう「母親学級」も、アメリカでは「両親学級」なんです。彼が遠征で忙しかったこともあり、私はひとりで参加していたのですが、周りの夫婦に「あなたひとりで大丈夫なの?」とすごく心配されて。夫は仕事で来れないと伝えても「そんな仕事ないでしょ! 絶対来なきゃだめよ!」と言われましたね(笑)。
――章仁選手はそれぞれのお子さんが生まれるときに必ず育休を取っていたそうですね。
ローラ そうなんです。ただ、双子のときは早めに生まれて間に合わなかったんですよ。遠征先から到着してすぐに、ベテランの看護師さんから「おっぱいをあげる以外は全部あなたがしなさい!」とスパルタ教育が始まって(笑)。オムツ替えから沐浴の仕方まで叩き込まれていました。私が授乳している間は「お母さんには栄養が必要だからあなたはサンドイッチでも作ってなさい!」とまで言われていましたね。
自宅に帰ってからも、私の母親に「これはどうしたらいいですか?」と色々聞いていたそうです。母が代わってあげようとしても「僕の子どもなので自分でやります」と。母はいまだにそのことを振り返って「あの子はできた子だ」と褒めています(笑)。
夫が子供たちを「叱れない」複雑な理由
――いまは章仁選手の所属先がある福岡で暮らしていますが、家事や育児はどのように分担しているのでしょう?
ローラ 彼は朝5時半に起きてトレーニングに行くのが日課なので、戻ってきたら朝ご飯の準備をして子どもたちに食べさせて、学校に行く用意をさせて、洗濯物を取り出してたたむところまではしてくれます。私は早起きが苦手なうえに夜泣き対応をしているので、その分朝はゆっくりと寝かせてもらっていますね。
彼は一度寝たら絶対に起きない人なので、隣で子どもが泣いていようが目を覚ますことがないんです。本来ならそこでイラッとしてしまうのですが、代わりに朝の家事や子どもたちのお世話を任せることにしました。あとは基本的に気づいたほうがやるようにしています。
――お互いの生活リズムを上手く活用して分担しているのですね。章仁さんは明るくて朗らかなイメージが強いのですが、お子さんたちを厳しく叱ることもあるのでしょうか……?
ローラ いえ、すっごく甘いんですよ(笑)。全然叱らなくて何されてもオッケーという感じです。その理由を聞いたことがあるのですが、彼は遠征でずっと家を空けることが多かったので、子どもたちの成長過程をあまり見られなかったんですね。だからこそ「お家に久々に帰ったときはずっとラブラブしたいから叱るなんてできない!」って言われて……。
――叱らないのは章仁選手の性格ゆえでなく、海外遠征が多いというラグビー選手ならではの背景があったのですね……!