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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「もちろん意図的です」西武・平良海馬があえてセオリーの“逆”を突く理由…異例の直談判で叶った先発転向への思いも明かした
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2023/04/12 11:01
先発として今季さらなる活躍が期待される平良
――今シーズン、描いているゴールは?
平良 チームで一番活躍した、と言われるようにしたいです。(勝ち星とか防御率とか)数字には興味がないんです。自分の価値って、味方が点を取って初めて価値になるので。そのあたりは僕がコントロールできる範囲じゃない。気にしてもしょうがないかな、って。
――逆にこだわっている数字は何ですか? マニアックなものでも。
平良 ひとつはイニング数ですかね。170回くらいは行きたい。いや、180回にします! あと、去年はフォーシームの投球割合をあえて増やしていたんですよ。フォーシームで勝負出来るんだよ、というところをしっかり見せたくて。48%くらいだったかな。今年は球種を2つ増やしてツーシームとカーブも投げますし、先発ということでフォーシームの割合を35%ぐらいに抑えたい。どんな球がくるのかわからない、みたいな状態にするのが理想かなと思っています。
球界随一!「データ派」の素顔とは
平良と言えばセットポジションから最速160kmの直球を投じる豪快なピッチングが印象的だが、一方で非常に繊細な投球感覚の持ち主であり、自他ともに認める“データマニア”でもある。ブルペンには、投球をカメラとレーダーで分析するデータトラッキング機器「ラプソード」を自ら持ち込み、1球1球確認しながらピッチング。感覚と数値を一致させながら、より良い投球フォームやボールの軌道を追い求めている。
きっかけは2019年12月に菊池の自主トレに入門したアリゾナで体験した動作解析だった。2020年シーズンからは国内にある動作解析の専門施設「ネクストベース・アスリートラボ」のサポートを受けながら自らも知識を深め、ピッチングを進化させてきた。
――もともと、数値やデータには興味があったのですか?
平良 結構好きでしたね。理数系でもないし、勉強は全然できなかったんですけどね(笑)。自主トレ中に、たまたまデータを扱う機会があって見てみたらやっぱり面白いなと思って一気に興味が湧いてきました。最初は自分が一体どんな球を投げるピッチャーなのか、ということ自体が分かっていなかった。出てきたデータを見たら、イメージしていた自分とはかけ離れた数値が出てきたんです。
――かけ離れていた部分とは?
平良 フォーシームの、一般的には伸び具合というんですかね? プロ入りして始めの頃はストレートを結構投げる方でしたし、空振りも取れていたんです。伸びているんだろうなと思っていたら全然そうではなかった。そこから、リリースポイントなどを見直して、握りを変えたりすることで、球の質を向上させていった。本当にあの出会いが一番大きかったです。