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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「僕のミスです」涙を浮かべた内川聖一WBC”痛恨の盗塁ミス”を井端弘和が語る「万に一つのチャンスを狙わなければ」「一番の要因は…」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2023/03/08 17:48
2013年WBCの準決勝プエルトリコ戦で痛恨の重盗失敗し、うなだれる内川聖一。当時のミスの要因と教訓を一塁ランナーだった井端弘和が明かした
「だからその後に自分がジャパンでコーチをやらせていただいたときには、すべてチームとしての決め事を確認しました。東京五輪に向けたジャパンのときも、監督の稲葉(篤紀)さんもあのプエルトリコ戦にいたので、『絶対、チームで決められることは統一しましょう。3チームはこうだけど、残りの9チームこうだという約束事が絶対にあると思うので、それはチームで統一しましょう』と言いました。僕もノートに書いて、ジャパンでチームが集まるたびに、それを読み上げて選手には伝えていました」
井端さんは自らの重盗失敗という苦い体験も交えて、ジャパンとしての決め事を徹底するよう選手に伝えてきたという。
「ダブルスチールもそうだし、サインの徹底もそうですね。エンドランのときに外されても、ジャパンではとりあえずストライクを取られても当てにいこう。ただ1アウトで外されたケースは、それはもう手を出さないでもいいよとか。バントシフトを敷いて、相手が打ってきて守備側の動きが止まると一塁が空いてしまうので、そのケースはどうするのかとか。それはチームによって全然違うので、そこはきちっと代表チームとして決めておかなければならないということですね」
今回の侍ジャパンでの”チームの決め事”とは
実は同じことを今回の侍ジャパンの白井一幸ヘッドコーチも語っていた。
キャンプ初日から二塁走者の三塁ベースの回り方を示す白線を描いて練習をしてきた。
「二塁走者がホームに戻りたい気持ちが強いと、どうしても三塁ベースに直線的に入ってしまい、ベースを踏んでから膨らみ過ぎてホームでアウトになることが多い。しっかりと(三塁の前で)膨らみをつけて、そのあとに直線的にラインをとるための練習と意識づけ、決め事です」
こう語る白井ヘッドはチームとしての決め事を強調していた。
「きちっと決め事を作れば、結果は決めた側の責任。この走塁も選手の迷いをなくして、あとはやるべきことをやるだけ。できるだけ選手の負担を少なくしておくようにしたいということです」
東京五輪が終わり、稲葉監督が率いた代表チームが解散した後に、栗山英樹監督の下で新たな侍ジャパンは結成されている。
「最初の会議に2回ほど出席したので、そのときにそういうことはお伝えしました。白井さんも引き継いてくださっているようですから大丈夫なのかなと思いますね」
手痛い失敗、忘れられない悲劇から得られる教訓は大きい。そしてその教訓がきちっと引き継がれれば、監督や首脳陣、選手は代わっても、侍ジャパンというチームは進化することができるということである。
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