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「クボのソックスに穴が!」バルサに続きマドリーも“久保建英が脅威”だった…現地撮影で感じた出色の貢献「クロースが苦虫を」 

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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posted2023/02/01 17:01

「クボのソックスに穴が!」バルサに続きマドリーも“久保建英が脅威”だった…現地撮影で感じた出色の貢献「クロースが苦虫を」<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

国王杯バルサ戦に続き、マドリー戦でも好プレーを随所に見せた久保建英。名手トニ・クロース相手にもわたり合った

 ソシエダは、55分にも本来の調子を発揮できないオヤルザバル、メンデスの2枚替えで早々の交代策を打った。久保は中央より右サイドへポジションを変更すると、交代出場のマリンとのコンビネーションから、ボックス内でのGKクルトワの手を弾くシュートを放ち、さらにクロスを送る。

 またナバーロからのパスをリュディガー、カマビンガの間で受けると巧みなトラップで抜け出してGKと1対1の局面を作りかけた。ここは2タッチ目がやや大きくなってしまい、クルトワと接触。イエローカードを受けているが、より一層マドリーゴールへ近づいてプレーする機会を増やし、マドリーの脅威となる働きを見せた。

マドリーの攻勢の前にビニシウス相手の守備も

 ただやはりマドリーの攻撃は――じわじわとソシエダ守備陣を追い詰めていった。前線で狭いスペースを見つけては、ベンゼマ、ビニシウス、ロドリゴが侵入し、易々と起点を作っては、守備ラインの裏を突いていく。

 71分にはロドリゴ、ベンゼマ、ビニシウスとダイレクトパスを繋ぐと、ビニシウスがGKレミロと1対1の局面でループシュートを狙った。掬い上げられたボールと芝が舞う中、ぎりぎりまで体勢を維持したレミロが、左手一本でボールを弾き出した。

 さらに、飛び出したベンゼマへのフィードは、スベルディアが間一髪で間に合った。

 久保もサイドへポジションを移してからは、攻撃だけでなく、守備時には相対するビニシウスを封じるための上下運動が増えていった。

 試合終了が近づくと、最後まで必死に得点を狙うマドリーに対して、なんとかこのまま引き分けを狙うソシエダの構図がはっきりと見えた。ソシエダは、なんとか前線へボールを運ぼうとしても、立ちはだかるミリタンを越えることすら難しく、自陣ゴール前に包囲されていく。

 モドリッチがミドルシュートを狙い、ビニシウスがドリブルを仕掛ける。最後までマドリーの猛攻が続いた。そして無得点引き分けのまま90分の笛が鳴ると同時に、久保はピッチにゆっくりと倒れ込んだ。そして束の間、疲労の溜まる両足をマッサージするような仕草を見せた。

 そして、ここ数試合活躍の著しいマリンと喜び合うと、試合を通して対峙し合ったクロース、ナチョと健闘を讃えあった。

野戦病院化した中でのバルサ、マドリー戦で出色の出来

 同一週に、バルサ、マドリーという2強と連戦したソシエダ。シルバ、メリノという主力を欠く中、CL出場権獲得を目指すためにも、マドリーから勝ち点1を得て3位を維持している。

 その穴を埋め、出色の活躍を見せたのは久保だった。

 ただ本来のソシエダは、チーム一丸となってここまで戦ってきた。多く怪我人を抱えるチーム状況が、久保、スビメンディなどの個の活躍が目立つ戦いをせざるを得なくさせている面もあるだろう。

 試合後のインタビューに応えた久保は〈選手皆がギリギリの状態、次の試合まで1週間空くので、体調を整える必要性〉をとなえている。

 また2強との対戦での活躍にもかかわらず〈ゴールが欠けていた、ゴール前で落ち着きが必要だった〉とも述べた。

 今シーズン、マドリーから完全移籍した久保だったが、このベルナベウへの帰還は、イマノル監督率いるソシエダ戦士としての強い印象を残すものだった。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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