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「ロシア代表vs日本代表が実現する日」ロシアがアジア最終予選を戦う可能性は?「ヨーロッパ(UEFA)を脱退する」報道…ロシアの本音を探る 

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ウラディミール・ノバク

ウラディミール・ノバクVladimir Novak

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posted2023/01/13 17:00

「ロシア代表vs日本代表が実現する日」ロシアがアジア最終予選を戦う可能性は?「ヨーロッパ(UEFA)を脱退する」報道…ロシアの本音を探る<Number Web> photograph by Getty Images

2018年のロシアW杯、地元ロシア代表を応援するサポーター

 過去には2002年にカザフスタンがAFCからUEFAへ、2006年にオーストラリアがOFCからAFCへ所属連盟を変更した事例がある。またイスラエルは地理的、伝統的(元はパレスチナ代表)にはAFCに属すべきだが、政治的、宗教的な理由でUEFAの一員になって久しい。

 ただし、今回のロシアの意向が実を結ぶかどうかは不透明だ。これまでに所属協会の脱退を経験したことのないUEFAはおそらく、ロシアが頑なにその意向を通そうとすれば、最終的に承認するかもしれないが、まずは残留するように説得するだろう。侵攻が始まるまで、チャンピオンズリーグの最大のスポンサーはロシアの国営企業ガスプロムだったが(侵攻直後に契約を破棄)、もしロシアがAFCに加盟すれば、UEFAは侵攻が終わった後もロシア企業とスポンサー契約を結べなくなる。また、日本や韓国、オーストラリアといった国の協会は、ロシアのAFC加入に反対するだろう(一方、中国や北朝鮮、イランといった国の協会は賛成しそうだ)。

「アジア予選の方が易しい」への警鐘

 昨年12月23日、RFUは理事会でAFCへの加入を協議し、多くの賛同を得たと明かした。しかし決定の期限とされていた12月27日にも結論は出ず、最新の報道によると今年4月に決断が下される模様だ。あるいは、そもそもこれはロシア連合のUEFAへのこけおどしにすぎず、もとより本気でUEFAを脱退する気などなかったのではないかと見る向きもある。そうしたそぶりを見せれば、UEFAが制裁を緩和すると期待していたのではないかと。

 ただもし、本当にロシアがUEFAを脱退し、AFCの47番目のメンバーになるとしたら、日本をはじめとするアジア諸国には、どんな影響があるだろうか。ロシア代表はこれまでに、厳しい欧州予選を勝ち抜いてW杯本大会に11度出場し、欧州選手権に12回出場している。W杯の最高成績は1966年の4位、欧州選手権のそれは1960年大会の優勝だ(成績はソ連代表時代を含む)。近年では自国開催の2018年W杯で8強に入り、EURO2008ではベスト4となっており、アジアレベルでは間違いなく強豪のひとつに数えられるはずだ。

 とはいえ、次のW杯は出場国が48に増加し、AFCの出場枠もこれまでの4.5から8.5に増えることが決定している。つまり、強豪国が新たにひとつ加わったところで、日本の本大会出場の難易度が上がるわけではないだろう。

 あるいは、ロシア側は欧州予選よりもアジア予選の方が易しいと見ているかもしれないが、そうした意見を公にするひとはいない。逆にクリリヤ・ソビエトフ・サマラのイーゴリ・オシンキン監督は、地元メディアに次のように話している。

「以前は欧州の代表チームがアジアの代表チームに手こずることは少なかったが、最近は違う。カタールW杯では、日本、韓国、オーストラリアが決勝トーナメントに勝ち進み、サウジアラビアは後に優勝するアルゼンチンを下した。間違いなく、アジアのレベルは高まっている」

 またロシアでもっとも著名なスポーツジャーナリストのひとり、イーゴリ・ラビニャは『スポルト・エクスプレス』紙に掲載したロシア連合へ向けた公開書簡で、「あなた方は岐路に立たされている。ひとつは欧州の整備された道路──残念ながら今はロシアへの道が塞がれている──で、もうひとつは東へ続く砂漠だ」と綴っている。

 つまりアジアは、ロシアにとっても険しい道だと認識されているようだ。

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