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「なぜ日本人はそんなに凱旋門賞にこだわるの?」外国人の素朴な疑問に“世界の合田”はどう答えたのか「なにせ2着が4回もあるわけで…」 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byGetty Images

posted2022/11/26 17:26

「なぜ日本人はそんなに凱旋門賞にこだわるの?」外国人の素朴な疑問に“世界の合田”はどう答えたのか「なにせ2着が4回もあるわけで…」<Number Web> photograph by Getty Images

武豊騎手と合田直弘氏(2018年)。ずば抜けた海外競馬の知識と軽妙な語り口で、競馬ファンからは“世界の合田”の愛称で親しまれている

「ロンシャンと相関性のあるコースは日本にはない」

 たとえば、中山競馬場の2500m(有馬記念)や、阪神競馬場の2200m(宝塚記念)など、直線に上り坂があり、日本のなかで相対的にタフだとされるコースで結果を残した馬に“適性”を見出すことはできないのだろうか。

「ロンシャンの2400mに関していうと、相関性のあるコースは日本には存在しないと思います。東京や中山、阪神の直線に坂があるといったって、せいぜい1.8mから2.2m。中山の急坂を駆け上がることができたからといって、ヨーロッパの坂を同じように上がれるとは思っちゃいけませんね」

 クロノジェネシスやタイトルホルダーなど、有馬記念や宝塚記念を制した馬が近年の凱旋門賞で苦戦を強いられているだけに、この見立てには説得力がある。一方で、合田氏は「相関性ということでいえば……」と例外をあげてくれた。

「東京競馬場の2000m、あるいは2400mと、8月なかばにイギリスのヨーク競馬場で行われるインターナショナルSやヨークシャーオークスには相通じるものがあると思います。同じ左回りで、直線が長く、芝のカットも短めで、ヨーロッパのなかでは比較的クイックなグラウンド。今年のアルピニスタのように、近年ヨークシャーオークスは凱旋門賞のステップとしても機能しているので、牝馬の場合は選択肢に入れるのも面白いかもしれません」

英・愛・独のステップレースも選択肢に入れるべき

 凱旋門賞に挑むうえでの臨戦過程も、たびたび議論になるポイントだ。これまで、同じロンシャン2400mで行われるアークトライアルデーのニエル賞やフォワ賞からのローテーション、あるいは宝塚記念や洋芝の札幌記念からの“ぶっつけ本番”を多くの日本馬が採用してきたが、合田氏は「選択肢はもう少し広く持つべきでしょうね」と指摘する。

「アークトライアルデーを使うと、中2週で本番を迎えることになりますよね。同じコースを経験できるメリットはありますが、最近の日本馬はレース間隔を空ける馬が多いので、仕上げの難しさはあると思います。もう少しローテーションに余裕を持たせるのなら、先ほど申し上げた8月のヨークのインターナショナルSやヨークシャーオークス、そして9月上旬のアイリッシュチャンピオンS、それから重い馬場を経験しておくという意味で、ドイツのバーデン大賞も選択肢に入れていいんじゃないでしょうか」

【次ページ】 「なぜ日本人はそんなに凱旋門賞にこだわるの?」

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