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三笘薫加入ブライトンは“クラブ史に残る最盛期” オイルマネーで“金満化だけど着実な古豪”とは《プレミアBIG6以外の注目チーム》
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph bySports Graphic Number/AFLO
posted2022/08/13 11:02
プレミア初挑戦となる三笘薫。彼の所属するブライトンなどBIG6以外の陣容も興味深い
ニューカッスル:サウジ版オイルマネー注入も堅実派?
新シーズンにもっとも順位を上げそうなチームだ。昨年10月、人権侵害を問題視されながらも、サウジアラビアの国家ファンドを中心としたコンソーシアムによる買収が認められ、リーグ最北端のクラブは世界でもっとも裕福なクラブのひとつになった。
翌月にはイングランドきっての若手監督エディー・ハウを招き、1月のマーケットではブルーノ・ギマラエスやキーラン・トリッピアー、クリス・ウッド、ダン・バーンらを獲得。すると時を置かずに指揮官が標榜するモダンなスタイルが浸透し、新年から快進撃を続け、前半戦は最下位に沈んだチームが最終的に11位でシーズンを終えた。
さらに昇格組のノッティンガム・フォレストを本拠地に迎えた今季開幕戦でも2-0の勝利を収め、2022年に稼いだ勝ち点41は、リバプール、マンチェスター・シティ、トッテナムに次ぐ数字に。プレミアリーグはもう、ビッグ6ではなく、ビッグ7の時代に突入したのかもしれない。
ただしこれまでに巨額資産を持つパトロンを迎えた他クラブとは異なり、新生ニューカッスルの初動は実に賢明で分別のあるものだ(経験と実績の豊富なフットボール・ディレクターとCEOを招聘したのは、マンチェスター・シティにも通じる)。
昨冬に引き続き今夏のマーケットでも、攻撃のスーパースターに照準を定めてはいない。それどころか本稿執筆時点で新たに迎えたのはDFスベン・ボトマンとGKニック・ポープだけで、ほかには期限付きで加入していたマット・ターゲットを買い取ったくらいだ。
「ファイナンシャル・フェアプレーを考慮しなければならない。今も、これからも、おそらく数年先まで」と先ごろクラブと新契約を締結したハウ監督は話した。「おそらくメディアは、我々が自由に選手を獲得できると見ているようだが、実際はそうではない。だから創造性と知性を発揮し、財政的な制限があるなかで正しい新戦力を加えていく必要がある」つまり、今はまだビッグクラブと比べると収入が少ないので、支出も抑えなければならないわけだ。
そして実入りを増やす方法のひとつに、欧州カップ戦への出場があり、今季はそこが目標となる。
攻撃面は間違いなく強化ポイント
評価の高いボトマンが定位置を約束されていない守備陣と、セレソンでも存在感を増すギマラエスを軸とする中盤に、これ以上のテコ入れは必要ないはずだが、ムラのあるアラン・サンマクシマンに頼りがちな攻撃面は強化ポイントだ。
レスターのジェームス・マディソンやチェルシーのアルマンド・ブロジャ、リヨンのルーカス・パケタ、ベンフィカのゴンサロ・ラモスら、ターゲットのひとりでも加えることができれば、11年ぶりの欧州戦線も現実味を帯びてくる。
<#1「マンC、リバプール、チェルシー」、#2「トッテナム、アーセナル、マンU」編からつづく>