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西山朋佳“初の女性棋士”不合格「じつは関西重鎮一門の系譜が…」元A級棋士が思う棋士編入試験の問題点「試験官も戸惑う非公式戦だけに」

posted2025/01/29 06:00

 
西山朋佳“初の女性棋士”不合格「じつは関西重鎮一門の系譜が…」元A級棋士が思う棋士編入試験の問題点「試験官も戸惑う非公式戦だけに」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

棋士編入試験を2勝3敗で終えた西山朋佳女流三冠

text by

田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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Keiji Ishikawa

 西山朋佳女流三冠(29=白玲・女王・女流王将)が臨んだ「棋士編入試験」五番勝負の最終の第5局は1月22日に行われた。初の女性棋士誕生なるか——メディアや多くの将棋ファン、関係者が注目した一局で、西山女流三冠は柵木(ませぎ)幹太四段(26)に敗れ、2勝3敗で不合格となった。五番勝負の戦いならびに大一番となった第5局の模様、西山の心境と今後、棋士編入試験のあり方などについて、田丸昇九段が解説する。

プロ公式戦で13勝7敗の成績を残していた

 西山女流三冠は出場したプロ公式戦で活躍し、昨年7月4日の対局に勝って直近の成績が13勝7敗となった。《10勝以上・6割5分以上の勝率》という棋士編入試験を受ける要件を満たした。西山は対局後の取材で「受験させていただきます。とてもうれしいです。自分の持ち味を生かせるように頑張ります」と語り、7月25日に将棋連盟に正式に申し込んだ。

 西山女流三冠は9月から始まった棋士編入試験で、新四段の順に5人の棋士と月1局のペースで対戦した。持ち時間は各3時間。第1局の「振り駒」で手番を決め、以降の対局で先手番・後手番を入れ替えた。第1局から第4局までを簡潔に振り返っていこう(※棋士の年齢はいずれも対局時)。

第1局から第4局を振り返ってみると

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 【第1局】9月10日・高橋佑二郎四段(25)戦

 東京・将棋会館。西山は後手番。西山の三間飛車に高橋は居飛車。一進一退の激しい攻防が繰り広げられ、高橋の9筋端攻めを逆用して、西山が△9七角と捨てる王手が強烈だった。その後、西山は明確な勝ち筋を逃したので、形勢は少しもつれたが、何とか逃げ切って緒戦に勝利した。西山は終局後に「大きく崩れないように指すことを意識しました。最後までよくわからなかったのですが、自分の玉が寄らない形になりました」と語った。

 【第2局】10月2日・山川泰熙四段(26)戦

 東京・将棋会館。西山は先手番。西山の中飛車に山川は2枚銀で対抗。少し苦しい形勢となった西山は飛車を捨てて攻め、終盤で玉頭戦に活路を開いた。しかし山川の冷静で正確な指し方に屈して敗れた。西山は終局後に「精度の低い手を重ねてしまいました」と語った。実は、この対局の1週間前に新型コロナウィルスに感染していて、体調は良くなかったという。

【次ページ】 最終局の相手・柵木は奨励会入会と三段リーグで同期だった

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