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来季の10番候補が中学生!? 昌平高校サッカー部はなぜ強豪になれたのか…藤島監督が語る部活動の限界「6年強化の流れは加速していく」
posted2022/05/20 17:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ関東の第2節。埼玉の強豪・昌平高校は、試合終盤に中学3年生のMF山口豪太をピッチに送り込んだ。
同校の下部組織にあたるFC LAVIDAに所属する山口は「来年度チームの10番候補」と言われている逸材だ。卓越したボールコントロールと切れ味の鋭いドリブル、そして精度の高い左足のキックは、通用するどころか、この日の対戦相手・帝京高校(東京)にとっても脅威となっていた。
現在チームの10番を託され、すでにJ1・FC東京への内定を発表しているMF荒井悠汰(3年)は、「後ろを見たらすぐに(山口)豪太がいる。いつ彼にポジションや10番を取られるか分からない緊張感があります」と3つ下の後輩に対して危機感を募らせる。それほどチーム内の競争が激しくなっているという証だろう。
強豪校の仲間入り、Jリーガーも多く輩出
その“競争”が物語るように、近年の高校サッカー界における昌平高校の存在感は年々増している。2008年のサッカー部強化元年から6年目の13年度に埼玉県の新人戦で初優勝を果たすと、翌年の選手権に初出場。16年のインターハイでは初出場で全国ベスト4に輝くなど、一気に強豪校の仲間入りを果たした。
また、16年度に同校初のJリーガーとなるMF松本泰志(広島)とMF針谷岳晃(磐田→北九州)を輩出すると、そこから毎年のようにプロ入りする選手が誕生。一昨年度はMF須藤直輝、MF小川優介(ともに鹿島)、MF柴圭汰(福島)、FW小見洋太(新潟)の4人が同時にJリーグ入りを果たした。
一方のFC LAVIDAも、チーム2度目の出場となった昨年度の高円宮杯全日本ユースU-15で初めて決勝に進出。サガン鳥栖U-15に1−4と敗れたが、Jクラブユースが上位を独占する中で残した準優勝という成績は大きな衝撃を与えた。
このチーム強化の裏には、昌平の「6年強化」がある。