濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
病院への迷惑取材、誹謗中傷も…大谷晋二郎“頚髄損傷のリング事故”をプロレス界はどう受け止めるべきか?「安易な“悪者探し”ではなく…」
posted2022/05/17 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
大谷晋二郎が試合中の負傷で救急搬送されてから、1カ月がすぎた。
4月10日、大谷は所属するZERO1の『押忍PREMIUM』両国国技館大会のメインイベントに登場。杉浦貴(プロレスリング・ノア)の世界ヘビー級王座に挑戦したが、コーナーマットへのジャーマン・スープレックスを受けた直後に倒れたまま動けなくなってしまう。試合はレフェリーストップ。大会終了後、病院に搬送された。
診断は頚髄損傷。13日には今後の悪化を予防するための手術を受け、次のステップとなる治療のため転院したことが団体から発表された。首から下が動かない状態だが会話はできているとも伝えられた。ただコロナ禍でもあり面会できる人数、時間は限られているという。
事故から1カ月、「大谷晋二郎エイド」の現在
28日には、都内ホテルで大谷への応援募金に関する発表があった。募金を受け付ける口座は兄の裕一郎氏と妹の葉月さん名義。妻の江梨子さんと3人で管理し、海外からのクレジットカードでの募金も可能となっている。またツイッターのハッシュタグ「#頑張れ大谷晋二郎」「#何度でも立ち上がれ大谷晋二郎」をつけたツイートは、本人に届けられるそうだ。
この発表の翌日、29日にはワールド女子プロレス・ディアナの後楽園ホール大会が開催された。大谷が出場予定だったものだ。代打として参戦したのは同じZERO1の盟友・田中将斗。アジャコングと組んで井上京子&西村修と対戦し勝利すると、田中は会場での募金活動にも参加している。大谷が現場監督を務めるガンバレ☆プロレスでは募金活動のほか大谷のポートレートが販売され、その売上も寄付に回される。他にも支援・募金活動に協力したいという団体からの連絡が多く届いており、現在、実施されている。
ZERO1は『押忍PREMIUM』大田区総合体育館大会を6月4日に開催すると発表。「大谷晋二郎エイド」としての大会で、大谷ゆかりの団体、選手が参戦。すでに新日本プロレスから同期の永田裕志、大谷が教育係を務めた真壁刀義、頚髄の負傷による長期欠場から復帰した経験のある本間朋晃が出場することが決まっている。
「リング復帰といったことよりも、まず元気になってほしい、笑顔になってほしい。そのための大会でもあります」
そう語ったのは運営会社ダイコーZERO1の神尊仁代表取締役だ。
主治医から「記者会見」にストップがかかった理由
28日の記者発表は、当初は応援募金に加え、大谷の怪我の状況についても質疑応答をする「記者会見」の予定だった。だが前日に主治医から関係者に“ストップ”がかかる。
「状態をお伝えできる状況にない。発言はしないでいただきたい」
伝えることができるのは「改善に向け治療中である」ということだけ。主治医からペーパーを預かって関係者が読み上げることもできるが「そういう問題ではない。素人が説明できるような簡単なことではない」と釘を刺されたそうだ。