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「総工費5億円」が今では廃墟に…あの『極悪女王』でも話題 37年前“全女”全盛期に完成の“伝説の施設”「リングスター・フィールド」を訪ねてみた

posted2024/11/01 11:00

 
「総工費5億円」が今では廃墟に…あの『極悪女王』でも話題 37年前“全女”全盛期に完成の“伝説の施設”「リングスター・フィールド」を訪ねてみた<Number Web> photograph by (L)Hiroki Kakehata、(R)AFLO

「クラッシュ御殿」とも呼ばれ全女の栄華の象徴でもあった秩父の合宿所「リングスター・フィールド」。総工費5億円の巨大施設はいまどうなっている?

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欠端大林

欠端大林Hiroki Kakehata

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(L)Hiroki Kakehata、(R)AFLO

 稀代の悪役レスラー・ダンプ松本の半生をモチーフにしたNetflix配信ドラマ『極悪女王』が大きな話題となっている。作中でも扱われている1980年代の全日本女子プロレスの人気は凄まじかった一方で、その栄華は振り返ってみれば一瞬の夢のような短さでもあった。あまりに華やかだった“全女”の時代の象徴とも言える、かつての超豪華施設を訪ねた。《全2回の1回目/後編を読む》

 800年の歴史を持つ埼玉県・秩父市周辺の「秩父札所34観音霊場」。巡礼のスタート地点となる「第1番」四萬部寺からさらに北に向かうと、やがて荒れ果てた林道に通じる。

 日差しも届かぬ鬱蒼とした山中の道を登っていくこと約1キロ。突如、切り開かれた空間が出現し、生い茂った植物の向こうに古いログハウス風の建物が確認できた。

 いまはなき「全日本女子プロレス」(全女)が所有していたトレーニング施設兼合宿所、「リングスター・フィールド」である。

総工費は5億円、市街地から離れた山中に2000人のファン

 バブル全盛期の1987年に竣工したこの施設は、全女が隆盛を極めた時代の象徴だった。

 創業社長の松永高司氏が、友人に勧められるままに山林を購入。本邦初の「女子プロタウン」を建設すべく、取引銀行からの押し付け融資2億円を含めて何と5億円の予算が確保されたという。

 林道がセメントで舗装され、傾斜地を削った広場が完成。そこに海外から取り寄せた高級木材による大型コテージが完成した。リングと小型のプールも併設され、山奥の豪華施設は当時、大きな話題を呼んだ。

 こけら落としとなった同年11月8日のオープニングイベントには、秩父市街から遠く離れた山中に、2000人ものファン(しかも、ほとんどが10代の女性だった)が大挙押し寄せた。抜けるような青空が広がったこの日、長与千種とライオネス飛鳥の「クラッシュ・ギャルズ」がリング上で『炎の聖書』を熱唱。「極悪同盟」の総帥、ダンプ松本も新人の女子選手たちを蹴散らし、存在感を発揮している。

 あれから37年の月日が流れた。

 団体の倒産後も解体されることすらかなわず、廃墟と化したログハウスの周辺には、古いパンフレットや選手たちを撮影したポジフイルム、何かのトロフィー、商品化されたVHSビデオの類が散乱している。

 屋根には穴が開いて、光と水が供給された床板にはすでに雑草が生えていた。人工のため池となったプールは、いまやシオカラトンボたちの絶好の産卵場所である。

【次ページ】 1980年代、空前のブームに沸いた全女だったが…

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