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少年野球で1本4万円もする「飛ぶバット」はアリか? “値段が高すぎ”中学野球では過去に禁止も…「ヒット1本1000円なら悪くない」の声
posted2022/03/19 17:03
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
Getty Images
筒香嘉智氏の「(バットの)重さや直径だけでなく、反発係数の規定を設けるべき」という発言に呼応するように複合バット(飛ぶバット)規制論を唱える声も少なくない。その一方、現役通算403本のホームランを打った山崎武司氏(崎の「大」は「立」が正しい)は野球における飛距離の魅力を強調する。
「昨年の中日ドラゴンズはセ・パ両リーグ通じて最下位の69本塁打。僅差でピッチャーが頑張って勝つ試合はもちろん見応えはありますけど、ホームランで3点差をひっくり返して勝った試合のほうが、やっぱり観客は楽しいはずですよ。野球のプレイヤーの視点で言うと、バッターとして遠くに飛ばすことはいちばん気持ちがよくて楽しいところ。僕も中学時代の練習中に、初めてグラウンド外の校舎に当たるくらいかっ飛ばしたときのことをはっきり覚えています。あれは本当にいい気分でした。複合バットを使って遠くに打球を飛ばせたなら、子どもたちが野球を続けるモチベーションになるかもしれない」
打率1割5分→3割バッターに
実際にそんな子どもたちに触れている大人にも聞いてみた。山崎氏と同様に「飛距離がもたらす楽しさは捨て難い」と語るのは、指導歴8年で、現在は横浜の軟式少年野球チーム「横浜ブレイズ」のコーチを務める山口尚孝氏だ。
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「小学生は体力差が大きく、非力な子だと、ボールを金属バットの芯で捉えたとしても、内野の頭を越えられないこともある。当然、ヒットが打てないと野球はつまらなくなります。その点で飛距離が出る複合バットは、野球の楽しさをサポートする役割もあると思います。ヒットが出ればチームの勝ちにもつながり、勝てばさらに野球が楽しくなりますからね。我々のような指導者の願いは子どもたちに野球を続けてもらうこと。そのために必要なのは野球を楽しいと感じさせ、自信をつけさせることが大切。それをサポートするひとつに複合バットがあると考えます」
山口氏の息子さんも、小学6年生の後半から複合バットを使用。それまでの通算打率が1割5分だった彼は、3割バッターに変身したという。それだけ打てれば、野球が楽しくなるに決まっている。そのおかげもあってか、モチベーションを保ち、高校まで野球を続けたという。