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筒香嘉智は問題視…少年野球「飛ぶバット」への賛否をどう考える? 通算403本の本塁打王は「子どもたちにホームランの夢を見せてあげたい」
posted2022/03/19 17:02
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
Getty Images
2007年4月1日の楽天対オリックス戦(フルキャストスタジアム宮城)。山崎武司選手(当時楽天。崎の「大」は「立」が正しい)の柔らかいバッティングフォームから放たれた打球は、木製バットの乾いた音を耳に残し、あっという間にレフトスタンドに突き刺さった。
この日、中学1年生の野球小僧だった筆者もスタンドに陣取り、間近で見るプロ野球に興奮していた。生で見るプロ野球選手のホームラン。それが描く美しい放物線は、今でも脳裏に焼き付いている。
山崎選手はこの年、プロ生活で最多となる43本塁打を放ち、ホームラン王と打点王の二冠に輝いた。その後、2013年に引退するまでに通算403本のホームランをファンに届けたスラッガーである。
あれほどのバッターでも「飛ぶバット」を使うのか
そんな山崎氏が、先日、新しいバットのお披露目をしていた。
「秘密兵器が届きました。BEYONDMAX.LEGACY 野球教室で子供たちにホームランを見せるんだけど、最近ぎりぎりなので、これで大丈夫!笑」(今年1月31日のツイート。原文ママ)
秘密兵器が届きました。
— 山﨑武司 (@tyamasaki7) January 31, 2022
BEYONDMAX.LEGACY
野球教室で子供たちにホームラン見せるんだけど、
最近ぎりぎりなので、これで大丈夫!笑 pic.twitter.com/R89XpzNVPL
「BEYONDMAX LEGACY」(ビヨンドマックスレガシー)とは、ミズノから販売されている軟式野球用バット。打球部にポリウレタン素材を使用し、金属バット以上の飛距離を叩き出すことから「飛ぶバット」として知られている。こうした従来のような金属でも木製でもない、飛びやすいバットは他の用具メーカーからも多々リリースされており、「複合バット」と称される。
氏の全盛期の打撃力と、そして複合バットへの後述のような批判的議論を知る筆者としては、「引退したとはいえ、あれほどのバッターでも複合バットを使うのか」というのが、正直な感想だった。山崎氏はどんな気持ちで複合バットを握っているのか、電話取材で尋ねた。