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ラグビーPRESSBACK NUMBER
“部活の常識”を覆せ! 「全体練習は週3回、1時間半」なのに花園常連…静岡聖光学院ラグビー部の効率化がスゴい
text by
間淳Jun Aida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/04 06:00
2019年度の全国高校ラグビー選手権にも出場した聖光学院ラグビー部。どのような練習をしている?
どこに何の道具があるのか、一目で分かるように片づけられている。部員のシューズは、スポーツ用品店のディスプレイのように並んでいる。水分補給のためのペットボトルや水筒は、等間隔で2列に。整理整頓ができていなければ、始動に余分な時間がかかる。細かいところに至るまで、無駄な時間を徹底的に省いている。
昼休みのミーティングに凝縮されている特徴
昼休み。この時間に、聖光学院ラグビー部の特徴が最も凝縮されている。
部員が教室に集まってミーティングを開く。その場に、監督やコーチはいない。部員自身が編集した練習や試合の映像を全員で見る。ポイントになるプレーでミーティングのリーダーが映像を止めて、他の部員に良かった点や改善点を問う。「ダブルタックルができていた」、「体の向きが悪いから、動きが遅れている」。必要に応じてグループで話し合いを始める。
そして、奥村監督から受け取った当日の練習メニューを予習し、練習のテーマをチーム全体で共有する。ミーティングと練習のリーダーは同じ部員が担当するが、主将や副主将といった固定のメンバーではなくローテーションだ。
奥村監督は「主将や特定の人に頼らない、依存しないチームをつくっています。個々が自立して、あらゆることに対して当事者意識を持つのが大切です」と意図を説明する。丸尾主将は「映像を使うことでイメージを共有しやすくなります。ただ、口で説明できなければ体は動きません。誰が主将か分からないくらい、全員がリーダーシップを発揮できるチームづくりを意識してきました」と力を込めた。
コロナ禍の部活自粛の中でもイメージを共有
限られた時間で効果を生み出す日頃の取り組みは、今回の花園切符をつかむ上で大きな要因になった。聖光学院は新型コロナウイルス対策で、7月18日から2カ月以上、部活動自粛の措置を取った。
花園をかけた戦いが迫っているラグビー部も例外ではない。この間、選手たちはオンラインでミーティングを重ねた。フォワードとバックスに分かれて、リーダーを中心に他校の分析をしたり、チームで取り組むべき課題に優先順位をつけたりした。自粛明けに集まった時に、イメージを共有するためだ。
さらに、部活動を再開してからは「チームビルディングプログラム」を新たに取り入れた。