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ラグビーPRESSBACK NUMBER
“部活の常識”を覆せ! 「全体練習は週3回、1時間半」なのに花園常連…静岡聖光学院ラグビー部の効率化がスゴい
posted2021/12/04 06:00
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Sankei Shimbun
部活の常識を覆し、ラグビー界をざわつかせている高校がある。静岡市の小高い丘に校舎を構える静岡聖光学院(以下、聖光学院)。全体練習は火、木、土曜日の週に3回だけ。しかも、練習時間は1時間半で、11月から2月までの冬季期間は1時間とさらに短くなる。
部活動の時間が少ないだけであれば、注目されない。1チーム15人、スクラムやラインアウトなど連携が重要なラグビーで、ここまで全体練習が少ないにもかかわらず、聖光学院は強いのだ。
11月14日に行われた全国高校ラグビー静岡県大会の決勝では、昨年度の優勝校・東海大静岡翔洋を21-7で破り、2年ぶり7回目の花園切符を手にした。花園では4大会連続で初戦を突破している。
頭、体、心を連動させる「ビデオミーティング」
なぜ、週5時間にも満たない全体練習で全国レベルのチームとなれるのか。「効率性」を掲げる聖光学院ラグビー部には、2つの特徴がある。「映像」と「グループワーク」だ。奥村祥平監督が意図を説明する。
「練習時間が短いので、体に覚えさせたり、体に染みつかせたりする時間はありません。そこで、選手が主体的に動けるように、頭、体、心を連動させます。選手が頭でイメージしやすいように映像を使っています」
聖光学院の練習には「ビデオミーティング」のメニューがある。
奥村監督が過去の試合や練習の映像を見せて問題点を投げかけ、選手同士で改善点を話し合う。「主体練」も同じだ。1時間の練習のうち10分を使い、各自が今やるべき課題に向けて頭と体を動かす。ペアでタックルする選手や、ラインアウトの精度を高めるジャンパーとリフターら様々だ。全ての練習メニューで、終わったらすぐにグループで課題や収穫を共有する。
丸尾瑛主将は「決められた練習時間の中で、勝つ方法を考えます。1人1人が意識を高く持ち、練習の質を上げる。そのために、みんなで意見を言い合える環境を心がけています」と語る。問題解決を後回しにせず、その場で考えることで質の高い動きを身に付けているのだ。
選手の1日を追うと強さと効率化が見えてくる
選手たちの1日を追うと、強さの秘密が見えてくる。午前8時に校門が開くと、ラグビー部の生徒はウエイトトレーニングを開始する。時間は30分。全体練習は、チームやグループでしかできない動きや戦術の精度を高めるための時間。個人でできることは、部活以外の時間を使う。
チームが掲げる効率化は、部室にも表れている。