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「一度サッカーから離れてみるのもありかな」「自分に罵声を」宇佐美貴史29歳、降格危機ガンバでの苦悩と心の支え〈インタビュー〉
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/03 17:03
苦しんだ2021年のガンバ大阪にあって、宇佐美貴史はどのようなことを考えていたのだろうか
インタビューを行った11月25日時点で宇佐美は36試合に出場し、わずか5得点。数字の上で物足りないのは確かだが、すべてが決勝ゴールだった。宇佐美個人を満足させる結果でないものの、節目節目でチームを救い続けてきたのは間違いない。
「個人の結果としても、チームの結果としても不甲斐ないし、申し訳ない気持ちでいっぱいです。数少ないポジティブな点は、自分の5ゴールがなければおそらくチームは今、J2に行くことになっていただろうなということですね。チームに対して色々いうこともありましたし、チームのことを考えて色々な行動もしました。それがなかったら、もしかしたら落ちていたかもしれない。残留争いには、すごく大きく貢献できたと思います。
プレッシャーとか危機感は、タイトルを争うよりも大きいなと。タイトル争いよりも下位で戦うほうが、精神的なしんどさは大きいなと感じましたね」
ヤットさんが抜けて、どうボールを持っていくのか
エースの苦悩はチームと個人の成績だけではなかった。ドリブルで打開し、強烈なシュートを叩き込むのが従来からの宇佐美像。しかし、三冠を達成した2014年当時とチームを取り巻く環境は大きく変わっていた。
「僕が19点ぐらい取っていた時はアタッキングサードまで連れて行ってくれる役割を、ヤット(遠藤保仁)さんがやっていました。そういう人が抜けて、じゃあチームとしてどうやってアタッキングサードまでボールを持っていくのか」
宇佐美もまた、周囲から見られるイメージと、果たすべき役割との間の中で揺れていた。ジレンマは感じていたのか、問うてみた。
「ありますね、それは……。ストライカーというか、そういう風に見られているんだなとは感じます。試合が終わって挨拶回りをする時に、そういう罵声を浴びせてくる人もいますし、チーム内でも、前でプレーすることを求められているのかなと思います」<続く>
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