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「一度サッカーから離れてみるのもありかな」「自分に罵声を」宇佐美貴史29歳、降格危機ガンバでの苦悩と心の支え〈インタビュー〉
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/03 17:03
苦しんだ2021年のガンバ大阪にあって、宇佐美貴史はどのようなことを考えていたのだろうか
今年の5ゴールはキャリアで嬉しかった1~5位です
「濃密な1年だったと思うし、自分の中でも試行錯誤して自分との対話もした。自分に対して罵声をたくさん浴びせましたし、一方で自己肯定を持つ面もあった。今までのサッカーキャリアの中で感情の振り幅が一番大きかったと思います。一番、辛いシーズンだったかもしれないですね。
でもその中で、数は少ないですけど、今季取れた5得点(11月25日のインタビュー時点)は、キャリアの『嬉しかったゴール』でいうと1位から5位を独占しています(笑)。こういう経験ができたことは、綺麗事じゃなく、かけがえのないものだと思っていますし、これを自分自身もチームとしても来年に生かしていかないといけないんです」
幼少からの最大の武器でもある精度の高いキックで、相手ゴールをこじ開け続けてきたシューター宇佐美。しかし今季は「ボール1個分外れる」という悩みに苦しんできた。7月27日の大分戦で劇的な決勝ゴールをゲットすると「もうエエわとやけになった分、力が抜けていいシュートになりました」と、キックに関して理詰めで生きてきた男らしからぬ言葉を口にしている。それだけ、追い詰められたシーズンだった。
「サポーターからも点が取れていないとか、バッシングも受けるじゃないですか。でもそれ以上に、僕自身が自分のことを一番バッシングしている(苦笑)。今シーズンは一度サッカーから離れてみるのもありかもな、と思う時期もあったのでね。
あれ以上気持ちが下へ振り切れていたとしたら今、練習や試合に姿を現しているかどうかもわからない状況でした。でも僕はそこでもう1回、まだまだできることはあるし、もっともっと頑張らないといけない、もっと示さないといけないものがあると、逆に気持ちを上へ振り切ることができた。そういう自分に気がつけたのも大きかった。意外と図太いし、あそこまで落ち込んでもまだやろうと思える自分がいてくれて良かった」
自分のゴールがなければおそらく今、J2に
心の支えとなったのは積み上げてきた、5つのファインゴールである。
「一番落ちていた時期を具体的にいうつもりはないですけど、あの大分戦より後の事ですね。だからこそ、ああいうゴールが自分をギリギリのところで繋ぎ止めてくれていましたし、1位から5位を独占、ということなんです」