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「一度サッカーから離れてみるのもありかな」「自分に罵声を」宇佐美貴史29歳、降格危機ガンバでの苦悩と心の支え〈インタビュー〉
posted2021/12/03 17:03
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
「色々ありすぎたシーズンだったかなと思いますね……」
コロナ禍による活動休止と宮本恒靖前監督の電撃解任、真夏の公式戦15連戦――。クラブ史上2度目となるJ2降格の危機がリアルに背後から迫っていた2021シーズンは、宇佐美貴史にとっても苦悩の1年だった。
そのままでは上位には行けてもタイトルは無理だと
Jリーグ開幕の前哨戦となる富士ゼロックススーパーカップでは川崎フロンターレに2対3で競り負けたものの、攻撃を重視する新布陣の4-1-4-1は一定の機能性を見せ、宮本前監督が目指すボールを握る能動的なスタイルへの期待感は高まる一方だった。
「去年はリーグ戦で2位まで行きましたけど、そのままの戦い方では上位には行けてもタイトルは無理だとチーム自体も感じていたと思います。攻撃的にというか、ボールを保持しながら戦うサッカーにシフトして行く中で、僕自身はボールにもしっかりと絡みながら、うまく得点を取ったり、チャンスを作り出すプレーをしていくイメージでした。ボールを引き出し、周りも生かしつつ自分も生きるというね。当初は4-1-4-1でやるんだろうと思っていましたけど、その布陣なら僕はインサイドハーフかウイングかと思っていましたね」
コロナからの再始動時に方向性が定まっていなかった
新スタイルへの転換を図るチームに降りかかったのが予期せぬコロナ禍だった。開幕戦を戦った直後、クラスター発生が発覚、2週間の活動休止を強いられた。宮本前監督は「我々は誰も経験したことがない作業に取り組まないといけない」と当時、苦しい胸の内を明かしたが、再開後のリーグ戦でガンバ大阪はクラブ史上例がない極度の不振に陥るのだ。
「新しいサッカーを浸透させる時期にコロナでストップして、再始動したときにまだ方向性が定まっていなかった。再開後はすぐにうまく行かず、自分たちがどういうサッカーをするのかがはっきりしなかったですね」
17歳と14日で公式戦デビューした宇佐美も、今年5月6日の誕生日で29歳。その翌日に応じたオンライン取材で「今までの誕生日で一番嬉しくなかったですね。ついに20代最後の年かという感情でいっぱいになって」と苦笑いしていたが、節目のシーズンに残した数字は不本意なものだった。