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京大医学部、最速152キロ、身長194cm⋯“伸びしろしかない”ピッチャー・水口創太が語る半生と進路「医師になるのは違うんで」
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byTakahiro Kikuchi
posted2021/12/02 11:01
京大医学部野球部の水口創太。身長194センチ&最速152キロの右腕に、これまでの半生と目標を聞いた
元プロの近田新監督「伸びしろしかありません」
背中を押してくれる、強力な指導者もいる。2017年から京大野球部の指導スタッフに加わり、今年11月から監督に就任した近田怜王である。近田は報徳学園に所属した高校時代に甲子園で活躍したサウスポー。ソフトバンクに4年在籍した後、社会人のJR西日本でもプレーした。
NPBの厳しい世界を経験した近田は、水口に対してこんな思いを抱いている。
「エースになってほしいというより、プロに行きたいならエースじゃないとおかしいでしょう? ということです。今の力のままNPBで戦えるかと言ったら、戦えないのは事実。スカウトもそう思っているでしょう。騒がれて終わるか、ここから突き抜けていくか。その意味では、彼には伸びしろしかありません。今までリリーフで起用しても『俺なの?』という感じで、良くも悪くも優しすぎるところがありました。でも、秋のリーグ途中から人に言われる前に自分からブルペンに行けるようになってきました」
「病院での実習」と「練習」の両立
水口も「行けるならもちろん行きたい」と大学卒業後の硬式野球継続に意欲を燃やしている。そのため、この1年間は「完成度」にこだわっていきたいという。
「今までフィジカル中心にやってきて、少しずつ成長を実感できているので。これからは全体的に足りていない細かい技術を身につけていきたいです。インステップを直して、力を真っすぐ捕手方向に伝えるようになりたいですし、牽制球やフィールディングも課題です」
最上級生になる来年は、本分である学業面でも大きなタスクがある。平日は朝から夕方まで病院での実習が入るのだ。つまり、野球の練習は夜など限られた時間にするしかない。土曜日・日曜日のリーグ戦出場には支障がないが、月曜日にもつれれば実習を優先するため参加できなくなる。
「いけるところまでいこうと思っています」
それでも、水口は京都大学という環境だからこそ自分が成長できたという実感がある。水口に「将来、こんなボールを投げたいというイメージはありますか?」と聞くと、水口は首をひねってこう答えた。
「感覚はどんどんよくなっているんですけど、目標の数字とかはないです。スピードは目標を決めずに、いけるところまでいこうと思っています」
可能性は青天井に広がっている。1年後、難関国立大の剛腕・水口創太はどんな道へと進んでいるのだろうか。