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京大医学部、最速152キロ、身長194cm⋯“伸びしろしかない”ピッチャー・水口創太が語る半生と進路「医師になるのは違うんで」
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byTakahiro Kikuchi
posted2021/12/02 11:01
京大医学部野球部の水口創太。身長194センチ&最速152キロの右腕に、これまでの半生と目標を聞いた
父は173センチ、母は168センチという両親を持つ水口は、中学3年時には身長が187センチに達していたという。本人は身長が伸びた理由を「しっかりした生活リズムで睡眠時間を取っていたから」と分析する。そして、大型選手にありがちな「自分自身の体をコントロールできない」という悩みとは無縁だった。
「昔から体を思い通りに動かすことは、わりと得意でした」
50メートル走のタイムは6秒3で、大学での練習メニューの一つでもある立ち幅跳びは2メートル90センチを記録する。この運動能力の高さは、水口の類まれなポテンシャルを下支えしている。
小学2年から野球をプレーするようになった一方で、「勉強もしっかりやろう」と思うようになったという。両親に厳しく言われたからではなく、「野球か勉強かのどちらかにしたくなかった」と子どもながらにこだわりがあった。
膳所では肩や腰の故障に苦しみ、不完全燃焼に終わった。京大では理学療法を学んだことで、大きな故障をしなくなったという。
「大学では自分で練習量を決められるので、これ以上やったらケガをする、ということが自分でジャッジできます。自分の体の重量を考えて練習量を決めています。人によってやるべき練習は違うので、個々人で考えることが大事だと思っています」
自己最速152キロには「球速の出やすい球場だったので」
これまでの大学生活で水口がとくに力を入れてきたのは、フィジカルトレーニングである。特定の部位を鍛えるのではなく、全身をバランスよく鍛えた。その結果、高校時代に140キロに届かなかった球速は、今秋に最速152キロまで伸びた。
ただし、その「数字」に水口は懐疑的だ。
「ボール自体はよかったんですけど、球速の出やすい球場だったので。本当はそこまで出てないと思います」
一方、自分自身のパフォーマンスが着実に向上している手応えはある。水口は自分の右手の指先を見つめながら、こう語った。
「この秋くらいから、指先が固くなってきたんです。指先にボールがかかって、リリースが安定してきている証拠だと思います」