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競馬PRESSBACK NUMBER
“10年に一度の挑戦”ウオッカが成し遂げた「64年ぶり戦後初、牝馬の日本ダービー制覇」はどれほどスゴいのか?
posted2021/12/03 11:03
text by
横山オウキOki Yokoyama
photograph by
フォトチェスナット
「10年に一度の挑戦」と言って良いであろう、牝馬によるダービー挑戦。そのチャレンジをし、さらには頂点を掴み取った名牝がいる。ダイワスカーレットというライバルにも恵まれた、ゼロ年代後半のスター馬・ウオッカを振り返る。
競馬を愛する執筆者たちが、ゼロ年代後半の名馬&名レースを記した『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 ゼロ年代後半戦』(星海社新書)から一部を抜粋して紹介する〈ウオッカ編/メイショウサムソン編に続く〉。
競馬を愛する執筆者たちが、ゼロ年代後半の名馬&名レースを記した『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 ゼロ年代後半戦』(星海社新書)から一部を抜粋して紹介する〈ウオッカ編/メイショウサムソン編に続く〉。
数々の「最強世代」論争がある中で、牝馬の最強世代といえば、ズバリ2007年クラシック世代ではないだろうか。スプリンターズSを制したアストンマーチャン、NHKマイルCを制したピンクカメオ、エリザベス女王杯でブエナビスタを撃破したクィーンスプマンテ、さらにはローブデコルテやエイジアンウインズ、ベッラレイアたち…。
そうした輝きを放つ彼女らの中でも一際強い黄金の輝きを放っていたのが、ダイワスカーレットとウオッカである。彼女たちの大きな特徴は、牡馬を相手に互角以上の戦いを繰り広げたこと。その象徴ともいえる一戦が、ウオッカの走った07年ダービーだった。
ウオッカは、父がダービー馬タニノギムレット、母がタニノシスターという血統。半姉・半兄のうち、中央デビューした馬は全て、当時まだ若手だった角居廐舎に預けられていた。両親に「タニノ」冠を掲げる、カントリー牧場ゆかりの血統と呼ぶに相応しい競走馬だった。角居調教師が何度も通ううちに「会う度に順調に成長している馬」と感じたと振り返るように、デビューの頃には494キロという雄大な馬体に恵まれた。
桜花賞、ダイワスカーレットにまさかの敗北
ウオッカはデビュー2戦目こそ取りこぼしたものの、桜花賞までの5戦で4勝。阪神JF含めた4つの白星はいずれも価値あるもので、特に4勝目となったチューリップ賞では素質馬ダイワスカーレットを撃破していたウオッカは牝馬クラシックの主役として人気を集め、世代の頂点すら射程にとらえていた。
しかし牝馬クラシック第一弾の桜花賞で、安藤勝己騎手の手腕が光る。