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競馬PRESSBACK NUMBER
“10年に一度の挑戦”ウオッカが成し遂げた「64年ぶり戦後初、牝馬の日本ダービー制覇」はどれほどスゴいのか?
text by
横山オウキOki Yokoyama
photograph byフォトチェスナット
posted2021/12/03 11:03
スタンドに大歓声が沸き起こった牝馬のダービー制覇。人馬はこの後、皇太子殿下に敬礼した
ウオッカである。
未来の菊花賞馬アサクサキングスをとらえ、さらに後続を突き放す。
一完歩一完歩が、歴史を塗り替える奇跡へと向かって突き進んでいるようだった。
ゴールとともに、四位洋文騎手が手をあげた。64年ぶりとなる、牝馬によるダービー制覇。偉業が達成された瞬間だった。
ダービー後も続いた挑戦の歴史
ウオッカは歓喜のダービー制覇後、3歳牝馬ながら宝塚記念に挑戦し、8着と敗北。
角居調教師は当時のことを、ウマフリで連載していたブログで「ダービーを勝ってからは崩れちゃったというか…それから安田記念を勝つまでは、ちょっと何をして良いものかわからなくなったという感じでした」と振り返っている。
ウオッカが1番人気でGⅠを制した最初のレースは4歳の天皇賞・秋とやや遅い。阪神JFでは2戦1勝という僅かなキャリアで4番人気、ダービーで3番人気、ドバイ帰りでヴィクトリアマイルを取りこぼした次走・安田記念では2番人気──。その間にも有馬記念の11着、京都記念の6着など敗北を経験してきた。
通算戦績は、国内で22戦10勝、ドバイで4戦0勝。ダービー時点で引退していれば7戦5勝2着2回という綺麗な戦績だったはず。しかしそれを勿体無いとは感じさせない、栄誉の敗北とすら感じられるチャレンジの連続があった。ダービー後も続いた挑戦の歴史こそが、ウオッカの持つ魅力の真髄ではなかろうか。
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