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<ワールドシリーズプレビュー>穴馬シリーズと波瀾の予兆。アストロズ対ブレーブスは意外な“投高打低現象”が勝負の分かれ目?

posted2021/10/26 11:00

 
<ワールドシリーズプレビュー>穴馬シリーズと波瀾の予兆。アストロズ対ブレーブスは意外な“投高打低現象”が勝負の分かれ目?<Number Web> photograph by Getty Images

リーグ優勝決定戦でともにMVPを獲得したアルバレス(左・アストロズ)とロサリオ(右・ブレーブス)。ワールドシリーズでも打棒でチームを牽引できるか

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 ワールドシリーズの組合せが決まった。アストロズ対ブレーヴスの穴馬対決。レギュラーシーズン開幕前の3月だったら、私も第3候補ぐらいにこの予想を入れていたかもしれないが、その後の騰落が激しすぎた。ポストシーズン開幕が近づくにつれ、私は昨年につづいてドジャース対レイズのワールドシリーズが再現されるのではないかと思うようになっていた。

 浮き沈みが大きかったのはブレーヴスだ。まず、強打の外野手マルセル・オスーナが家庭内暴力の疑いで5月に離脱した。ついで7月には、チームの看板選手ロナルド・アクーニャJr.が膝を故障し、今季絶望を言い渡された。

 飛車角落ち、という言葉が反射的に浮かぶ。実際、前半戦のブレーヴスは冴えなかった。ナ・リーグ東地区の優勝候補筆頭に挙げられながら開幕から4連敗を喫し、8月6日までは勝率5割を超えられない。8月13日の順位も、同地区3位。ポストシーズン進出さえ危ぶまれる状態だった。8月中盤以降の巻き返しで地区優勝こそ果たしたものの、勝率は5割4分7厘。ポストシーズンに進出した8球団のなかで最も低い。

 そんなチームに活を入れたのが、夏のトレードで獲得したジョク・ピーダーソンとエディ・ロサリオだった。カブスから来たピーダーソンはNLDS(地区シリーズ)4試合で5打点を稼いだ。インディアンスから移籍してきたロサリオはNLCS(リーグ優勝決定戦)で打率5割6分、本塁打3本を放ち、MVPに輝いた。彼らがここまでの活躍を見せると予期した人は少なかったのではないか。

ポストシーズンに化けたアストロズ投手陣

 打撃のチームと目されていたアストロズも、微妙な化学反応を起こしはじめた。ヨーダン・アルバレス、カイル・タッカー、カルロス・コレアらの破壊力は依然として凄まじいが、ランス・マッカラーズJr.の右腕故障で手薄を案じられた投手陣が、ここへ来て意外な好投を見せているのだ。

 逆襲の先頭に立ったのはフランバー・バルデスだ。レッドソックスと戦ったALCS6試合(アストロズの4勝2敗)を振り返ってみよう。最初の3戦合計を13対25のスコアで終えたアストロズは、最後の3戦合計を23対3という一方的なスコアで乗り切った。とくに5戦と6戦は、9対1、5対0という圧勝劇。最初の2戦が、5対4、5対9という打撃戦だっただけに、意表を衝かれた人も多かったと思う。

【次ページ】 3本柱が命運を握るブレーヴス

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