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「楽しみな馬が揃いましたよ」クラシック直結の2歳戦、武豊も注目のディープ産駒とは…名種牡馬は晩年に“大傑作”を遺す?
posted2021/10/19 11:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
AFLO
名種牡馬は最晩年に後継を遺すと言われる。
例えばサンデーサイレンス('02年没。'95~'07年、13年連続リーディングサイヤー)は、最終の一つ前の世代にディープインパクトという大傑作を世に出し、ラストクロップではフサイチパンドラ(エリザベス女王杯勝ち。のちに繁殖牝馬としてアーモンドアイの母となる)を送り出すことで日本の血統の流れに母の父としての大きな足跡も残した。
ディープインパクト('19年没。'12年から昨年まで9年連続リーディングサイヤー継続中)は、今年1歳になったごく少数の産駒がラストクロップ。現3歳のシャフリヤール、欧州で活躍する3歳牝馬スノーフォールが直近の輝く存在だが、父子二代の無敗三冠を達成した4歳コントレイルも間違いなく晩年の傑作。これからの世界の血脈に大きな影響を与えることになるだろう。ラス前の今年の2歳世代も優秀で、9月26日終了時点で首位ロードカナロア、ドレフォンの12勝に続く11勝。堂々の3位を走っている。
武豊「今年は2歳世代に楽しみな馬が揃いましたよ」
ジョッキーにとっても、2歳戦でどれほどの勝ち鞍をあげられるかは、来年のクラシックに直結する大事なポイント。C・ルメール、福永祐一が20勝、川田将雅が19勝でトップを競り合う形が、現在の勢力図を象徴していそうだ。52歳になった武豊の10勝も立派な数字としてクローズアップされるところ。野路菊S1着で2戦2勝としたロン(牝2歳、栗東・石橋守厩舎)は新種牡馬シルバーステートの産駒。2000m戦を連勝して、早くもオークスへの視界が大きく開けたと言っていい。
武豊騎手によるディープ産駒牡馬の勝ち上がりにも注目。ドーブネ(栗東・武幸四郎厩舎)と、トゥデイイズザデイ(栗東・池江泰寿厩舎)の両馬とも、格別な奥の深さを感じさせる。前者は気性的にクラシックよりマイル向きの可能性もあるが、後者は今後もゴリゴリの王道を進んでくれそうだ。
「初戦の逃げ切りは見た目には地味だったかもしれませんが、どんな競馬でもできるところはこれから実戦で証明していけばいいこと。この馬だけではありません。今年は2歳世代に楽しみな馬が揃いましたよ」と、武豊の笑顔が弾けている。