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「アパパネとアカイトリノムスメは全く違う」国枝栄調教師が明かした“秋華賞母娘制覇”までの道のりと“ぶっつけ本番ローテ”の真相
posted2021/10/20 17:02
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Photostud
10月17日に行われた秋華賞(GI)。優勝したのはアカイトリノムスメ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)だった。
京都競馬場の改修工事のため、秋華賞としては初めて阪神競馬場で行われた今年の1戦。3歳牝馬三冠の末尾を飾るこのレースで1番人気に推されたのはソダシ(栗東・須貝尚介厩舎)。二冠目のオークス(GI)こそ8着に沈んだが、それ以外の6戦は負け知らず。阪神ジュベナイルフィリーズや桜花賞といったGIを含む重賞を5勝。前走の札幌記念(GII)では初めての古馬、それも牡馬を相手に優勝した。
そして、何よりも世界初とも言われる白毛のGI勝ち馬という話題性が相乗効果となり、牝馬二冠の懸かった今回、この純白のヒロインは単勝1.9倍の圧倒的1番人気に支持された。
少し離れて2、3番人気に推されたのがいずれも前哨戦である紫苑S(GIII)の覇者ファインルージュ(牝3歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)とローズS勝ち馬のアンドヴァラナウト(牝3歳、栗東・池添学厩舎)。
そして、それらに続く4番人気だったのがアカイトリノムスメだった。
国枝師が分析する、これまでの「アパパネの仔」と異なる点
アカイトリノムスメのオーナーは金子真人ホールディングス。同馬の父で三冠レースなどGIを7つも制したディープインパクトも同オーナーの持ち馬だったばかりか、牝馬三冠などGI5勝の母アパパネも同オーナーの馬。更に言うとその父でダービー馬のキングカメハメハもその母のソルティビッドもやはり同オーナー(この2頭の馬主名義は金子真人氏)の馬だった。
金子オーナーブランドの三冠馬同士の配合で生まれた産駒としてはアカイトリノムスメの上にもモクレレ、ジナンボー、ラインベックの3頭がいたが、いずれもGIを制するまでには至らなかった。アカイトリノムスメとモクレレも管理していた国枝師は言う。
「アカイトリノムスメの兄で私が手掛けたのはモクレレだけでしたけど、他の2頭の兄についても管理した調教師に話を伺うと少し難しい面があったみたいです。アパパネの仔で、牡馬だとそういうタイプになるのかもしれません。そこへいくとアカイトリノムスメは牝馬だったのが良かったのか、気性面ではそれほど難しい馬ではありませんでした」