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藤井聡太二冠と「ぴよりんアイス」の衝撃、佐藤康光会長の“タイトル戦まであと1勝”もスゴい… 観る将マンガ家が描く「6月の将棋ハイライト」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by日本将棋連盟/Junsei Chida(illustration)
posted2021/07/03 06:00
藤井聡太二冠とマンガで描く6月の将棋ハイライト。今年度の全イラストは関連記事からご覧になれます!
藤井二冠、6月は7局もこなしていた
(2)1カ月の藤井二冠の対局を振り返ると
2つのタイトル戦を含めて、イラストでこの1カ月の対局を振り返ってみましたが、1カ月で7局もの対局をこなしたんですね(5月31日にも永瀬拓矢王座との叡王戦本戦があったし)。単純計算ですが4、5日に1局は指していることになります。こんな“過密日程”でどうやって研究していたりするのだろう……と不思議に思うばかりです。
その7局の成績は、5勝2敗。対局した相手はすべてトップ棋士なのに、この成績ですからね……。一方で順位戦で藤井二冠の連勝記録を22で止めた稲葉陽八段の指し回しに感嘆しつつ、これが「鬼の棲家」と言われるB級1組の厳しさなのか、とも。そして順位戦26連勝という記録を持つ森内俊之九段のスゴさもあらためて実感します。
“タイトル戦が日常”になっているのが恐ろしい
一方で屋敷伸之九段に勝利して対戦成績を2勝1敗とし、叡王戦では昨年の竜王戦で敗北を喫した丸山忠久九段にリベンジ。その勢いに乗って叡王戦挑戦者決定戦で斎藤慎太郎八段に勝利し、豊島竜王・叡王との“ダブルタイトル戦”が決まりました。
7月以降も世の中は「藤井くん、またタイトル戦を戦っているんだ」という感じになるんでしょうね。大リーグの大谷翔平選手のホームランのように、当たり前になりつつあるのが冷静に考えて恐ろしいんですけど(笑)。
検分をリードする渡辺名人や、王位戦で駒を出す際に少々ぎこちない? 動きを見せるのが微笑ましい藤井二冠ですが、タイトル戦を経験するごとにきっと貫禄がついてくるのでしょう。そう思うと、今の初々しい姿を見られているのは今後長く将棋を楽しむ上で、非常に貴重な期間なのかもしれません。
3日には棋聖戦第3局が開催されます。もし勝利してストレート防衛となれば、史上最年少での「九段昇段」となるそうです。もちろん渡辺名人の意地にも期待して、対局を見守ろうと思います。