ただ、ホーバスHCはこれを必ずしも悲観的にはとらえていない。トヨタ自動車とENEOSが戦ったWリーグファイナルから3カ月近く経っており、試合勘が薄れていたことは確かだろう。「久しぶりの試合で選手たちも緊張があったし、日本のバスケットをうまくやろうとしてしまっていた」と語ったように、ある程度織り込み済みの展開だったことは想像に難くない。その中で、高さとフィジカルの強さを備えたポルトガルと対戦したことを「日本にいると、こういう相手とは試合できない。良い経験になった」とホーバスHCは振り返る。コロナ禍という難しい状況で来日し、3試合を通じて強度の高いディフェンスを披露したポルトガルに対して、ホーバスHCは感謝しきりだった。

　また、この横浜での3試合には16人のメンバーを12人に絞るトライアウトという側面もあり、頻繁に選手交代したことも試合展開を重くした。生き残りをかけた選手にとっては貴重なアピールの場。この3連戦の後の第6次強化合宿を経て五輪出場メンバーが決定されるとはいえ、試合でのパフォーマンスが選考に大きな影響を与えるのは間違いなく、チームオフェンスの完成度よりも自身のアピールに意識が傾いてしまうのはやむを得ない部分もある。

生き残りをかけた3ポイント

「このチームには良いシューターが多い。調子の悪い選手が2人いてもまだ2、3人います。でも、トライアウト中なのでみんな3ポイントを打ちたくて狙ってしまう」というホーバスHCの言葉からも、選手たちの想いの強さが窺える。

効果的な3ポイントを連発し、大会MVPを獲得した三好。代表選出へ大きなアピールとなった

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　その中で目を引く活躍を見せたのは三好南穂とオコエ桃仁花。三好は2016年のリオデジャネイロ五輪にも出場し、フランス戦での貴重な3ポイントも印象に残っているが、その後は一時3x3の代表候補に回り、5人制の代表候補から外れた時期もあった。この3連戦ではチーム最多となる計9本の3ポイントを決めており、中でも第1戦は7分に満たない出場時間で14得点を荒稼ぎし、大会MVPにも選ばれている。

　プロ野球選手の兄を持つことでも知られるオコエは、ディフェンスでは渡嘉敷の代役としてインサイドでの働きを期待される一方、オフェンスでは内外両面で得点に絡むことのできるセンター。三好に次いでチーム2位となる3ポイント6本成功で、五輪メンバー選出に大きく前進した感がある。

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