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【バスケ女子】五輪日本代表生き残りを懸けたポルトガルとの3戦で見えた「193cmの大黒柱」不在を埋める手段とは
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/06/27 17:01
ポルトガル相手に順当に3連勝した日本代表。6/19~28の強化合宿を経て東京五輪内定12人が決定する
3ポイントの精度以外で2人に共通するのは、メンタル面の安定だ。一度5人制の代表から離れている三好は「吹っ切れさえすれば自分らしいプレーができる」と言い、代表合宿の当初はプレッシャーを感じていたというオコエも「楽しんでいる姿を見てもらうのが一番」と切り替えることができたそうだ。良い意味での余裕が生まれた2人が良いパフォーマンスを見せたのは必然と言っていい。
そして、生き残りをかけて一際強い想いでこの3連戦に臨んでいたのが本橋菜子だ。東京羽田ヴィッキーズの絶対的エースである本橋はホーバスHCに見いだされて代表入りを果たすと、瞬く間に周囲を驚かせる活躍を披露して完全に日本代表のエースガードに定着した。1年延期された東京五輪でも当然のように日本の主軸の1人として大きな期待を受けてきたが、昨年11月に右膝前十字靭帯を損傷。本番に間に合うかどうかは微妙だったが、渡嘉敷と同様に五輪候補には名を連ね続け、この三井不動産カップで約8カ月ぶりにコートに立つことができた。
復帰戦となった第1戦は8分弱の出場時間で5得点。本人曰くコンディションは70%くらいとのことだが、「短い時間では本来の自分の良さを出せなかったですが、膝の状態は『いける』と感じました」とも語り、その手応えに笑顔も見られた。
仲間の無念を晴らす戦い
時期が異なるとはいえ、同じケガを負った渡嘉敷は五輪を断念しなければならなかった。ともに日本の中心選手として戦ってきた渡嘉敷に対する想いは、もちろん本橋にもある。第1戦後の会見で、本橋は言葉を詰まらせながらこう語っている。
「一緒にリハビリをして、頑張っているのも見てきたので自分も悔しかった。タクさん(渡嘉敷)の分も頑張りたいと思いました」
2019年のFIBAアジアカップでMVPに輝き、アジアでは既に名を馳せた本橋。新たなモチベーションが加わり、世界の舞台でも躍動する姿を期待したい。
東京五輪に臨む12人は間もなく決定し、第7次強化合宿と三井不動産カップ埼玉大会を経て、待ちに待った東京五輪が幕を開ける。はたしてどの選手が夢舞台への切符をつかむのか、そして本番に向けてチームがどう進化するのかが楽しみだ。