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農業部、広報部、おもてなし部…高川学園サッカー部の「部署制度」がスゴい! “160人の大所帯チーム”が考えた「部活」の意義とは?
posted2021/05/31 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
昨今、何かと注目を集める部活動の在り方。その中で面白い取り組みをしている高校がある。
山口県にある高川学園高校サッカー部。
2006年に多々良学園から現在の名称に変更。インターハイベスト4が2回、選手権ベスト4が3回の実績もさる事ながら、これまで多くのJリーガーを輩出するなど、中国地方を代表する強豪校として知られている。
そんな実績を誇る高川学園が、部活の新たな可能性を示す活動として行うのが「部署制度」だ。
きっかけは筑波大学サッカー部の組織づくりを知ったことだった。全160名の大所帯を束ねるサッカー部の江本孝監督(同校副校長)はこう語る。
筑波大サッカー部の自主性
「何より大事なのはトップチームの試合に出られていない子たちが、『自分も大事なチームの一員なんだ』という自覚を持つこと。筑波大の取り組みを知って、高校という枠組みだけではなく、社会人として必要なことが身につけられるのではないかと思い、すぐに小井土(正亮・筑波大監督)さんに連絡しました」
筑波大は選手のプレーパフォーマンスの向上をメインにしたパフォーマンス局を設置し、データ班・アナライズ班・ビデオ班・トレーニング班・フィットネス班など細分化。学生たちが自主性を持って強化に取り組んでいる。
高川学園がそれを参考に部署制度を導入したのは2017年。5季目を迎える現在では、分析部・強化部・道具部・審判部・グラウンド部と筑波大のようにサッカーに関わる役割を担う部署のほか、広報部・おもてなし部・農業部・生活部・総務部といった組織づくりや生活面のサポートを担当する10の部署に分けられる。生徒たちの個性や時代のニーズに合わせて部署を新設するなど、形骸化しないように常に変化を加えてきた。
分析部、道具部などサッカーに関わる役割はなんとなく想像できるが、後者に挙げた一見、サッカーとは直接関係のない部署の役割は一体どんなものなのだろう。