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“苦戦中”DeNAブルペンの内情とは? 32歳8年目の三上朋也が淡々と語る「まあでも、もう第一線級というか……」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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posted2021/05/23 11:02

“苦戦中”DeNAブルペンの内情とは? 32歳8年目の三上朋也が淡々と語る「まあでも、もう第一線級というか……」<Number Web> photograph by KYODO

4月半ばに負傷で一時離脱も、ほぼ最短で復帰。試合展開を問わず幅広いシーンでその投球を披露している

「いや、大きくは変わってはいないのですが、今言ったように選手個々の自分の役割への理解、また試合を読む力が以前よりも経験値として高まっていますよね。人の気持ちというか、お互いを理解する経験をそれぞれがしている。だから成功の喜びも失敗の辛さも共感できるブルペン陣になったと思います。例えば三嶋(一輝)がやられたとしても、その気持ちはすごくわかるし、だから皆でカバーして次の成功に繋げようという空気が自然と出ているんですよ」

 成熟したブルペン――かつては須田幸太や加賀繁、田中健二朗、そして三上といった自分のことよりもチームに対し献身的だった年長の投手たちが引き継ぎ醸成させたことで、今の状況がある。DeNAのブルペンというのはそういった場所だ。

今季から積極的に投げる「2つの変化球」とは

 さて今季の三上は前述したように自分の仕事を粛々と遂行しているわけだが、投球内容は以前と異なっている。これまでよく見せてきた150キロ前後のスピードボール中心ではなく、コースを狙って丁寧にピッチングをしている。

「以前は自分本位のピッチングというか、例えばピッチャー全般に言えるのですがアウトローにストレートを投げ切ることができれば自己満足できていたんです。けれど今は、バッター目線に立てばそんなこだわりはどうでもいいというか、打者の心理を理解して打ちにくいボールをいかに投げるかという考え方になってきたんです。例えばタイミングもしかり、あのスイングだとこのコースは嫌いだろうとか、そういったことを考えて力まず投げる。『おりゃ~!』と投げてどうにかなるだろうというピッチングではなく、100の力ではなくとも抑えることを常に考えていますね」

 それを可能にしているのが、今シーズンから積極的に使用している130キロ台後半のシンカーとカットボールだ。これまで三上はストレートとスライダーのほぼ2ピッチだったが、この対になる変化球により確実に投球の幅は広がった。

「じつはシンカーに関しては入団当初から言われていたんですけど、なかなかモノにできなくて……。ちょっとは投げていたんですけど、主に1イニングの仕事なのでどうしても自信のあるボールを選択してしまう。あとカットボールは、意識としては速いスライダーという感覚なので習得するのにはあまり苦労はしませんでした。もっと早く使っておけば良かった(苦笑)。これら変化球の効果ですか? バッターの反応として以前に比べスライダーへの踏み込みが弱くなったように感じますね」

 これほどのピッチングスタイルの変化を生んだのは、2年にも及んだファームでの日々。そこで、苦しくも価値ある雌伏の時間を過ごすことができたという。

焦るけど「必要な時間だったというわけです」

「ファームに長くいると気持ちも落ちますし、多少焦りもするんです。一軍で投げたい気持ちはあるけど、そこまでのパフォーマンスではないと自分でわかるのでモヤモヤするんですよね。ただ諦めたり、下を向くことはありませんでしたよ。何事もポジティブに考え、こういう時間も必要だよねって。だから変化球など新たなアプローチにしても試す時間がファームでは多くあって、実際投げて成功体験を得て、これならイケるんじゃないかって手応えを感じることができたんです。つまり必要な時間だったというわけです」

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