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“ラッキーな最下位”湘南は『自動降格枠の拡大』で生き残れるのか?――それでも「目指すのはJ1残留ではない」
posted2021/02/27 06:04
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
2021年の湘南ベルマーレには、厳しい視線が向けられている。
昨年はJ1で最下位に終わった。本来ならJ2降格となるが、新型コロナウイルス感染拡大による大会方式の変更で、今シーズンもJ1で戦うことができている。
「ラッキーでしかない残留だった」
シーズンオフには主力選手を多く失った。最終ラインを支えてきた坂圭祐、中盤で存在感を発揮してきた齊藤未月、松田天馬、金子大毅、それにサイドアタッカーの鈴木冬一らが、国内外のクラブへ旅立っていった。
主力選手が移籍していくのは、今回が初めてではない。選手を抜かれても選手を育てていくのが、ベルマーレ伝統のチーム作りである。
そうは言っても、最下位だったチームからこれだけの選手が抜けてしまったのだ。ましてや今シーズンは、下位4チームがJ2に降格する。即戦力の補強をしていても、不安視されるのは避けがたい。
他でもない当事者たちも、緊張感を高めている。加入2年目にしてプロ12年目のMF茨田陽生は、「ラッキーでしかない残留だったし、全員が去年の悔しさを忘れずにやっていると思います」と話す。3人の共同キャプテンのひとりに指名された石原広教も、「本来ならJ2に降格してしまう順位だったところを、今年またJ1で戦えるチャンスをいただいた。同じことを繰り返してはいけない」と、言葉に力を込める。
“昨季リーグワースト” 課題は「攻撃」
昨シーズンの成績を見ると、失点48は少ないほうから数えてリーグ11番目だ。そのうち30点は前半戦の17試合に喫したもので、後半戦の17試合は18失点で乗り切っている。ディフェンスについては、昨シーズンのうちに改善されていったと考えていい。
となると、課題は攻撃だ。
34試合で29得点はリーグワーストだった。浮嶋敏監督は「昨年は点が取れていないという課題を踏まえて、キャンプから意識してやってきた」とし、「アタッキングサードでの最後の質の部分。オフザボール(の動き)、切り替え(の速さ)を含めて得点を増やす取り組みをしている」と説明する。